和食を飾る「いろどり」にMSが協力──徳島県上勝町(2/2 ページ)

» 2007年10月12日 09時15分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]
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上勝町は危機をどのように乗り越えたか

 上勝町の危機を救ったのは、元農協(上勝町農業協同組合)の営農指導員で現在「いろどり」の代表取締役副社長を務める横石知二氏が興した「つまもの」事業だった。つまものとは、和食などの料理に添えて飾る花や葉っぱなどのこと。土地の豊富な樹木や草花、あるいは農家自らが植えて育てた木々などから取れるものを旅館や料亭などに出荷しており、現在では町の重要な事業となっている。

「いろどり」代表取締役副社長の横石知二氏

 出荷されたすべてのつまもの商品の価格および数量は、出荷元の農家がインターネットを通じて閲覧できるようになっている。また、その月の自分の累計売上高や生産者全体の中での順位なども確認することができるため、生産者がよりよい商品を提供するためのモチベーションづくりにも役立っている。上勝町には全世帯の86%に光ファイバーによる通信網が行き届いており、こうしたインフラを約190名のつまもの農家の人々が日々利用している。

 ヒューストン氏は、「上勝町が抱えていた問題は、日本の地方に特有のものではない。今や北米やイタリアなどにおいても同様に、深刻になってきている。そこでITができることは何か。それを探るのが今回の大きな目的の一つだったが、上勝町へ来てみて感銘を受けた」という。

生産者である菖蒲清さん・増喜子さん方を訪ねたヒューストン氏

 「その方法を模索している姿を見て、ぜひ後ろ側からサポートしたいと思った。上勝町の経験から学び得たことをほかの地域へ展開することができれば、デジタルデバイド(IT格差)を解消する手掛かりにもなる」(ヒューストン氏)

 笠原町長も、「作ったものを直接農家が消費者へ供給することができ、しかも確実な収入とすることができる。上勝町のモデルは、地域の振興はどんな小さな事業者でも進めることができるし、それを全国展開することも可能だということを語っている。林業が厳しくなった今は、地元の特産品であるお茶などをいかにうまく販売していくことができるかも考えている。IターンやUターンも含めて、人々が住んで暮らしていける基盤をきちんと作ることが重要」と、マイクロソフトとの取り組みを「行政に課せられた課題」の解決方法として意欲的に進めていくと語る。

 ヒューストン氏も、「地域から日本を変えていきたい」という笠原市長の言葉にマイクロソフトは共鳴し、上勝町を手を結ぶことで、地域振興のモデルを作り、それを全国的に広めることで地方のIT化を進めていきたいとしている。

いろどりのつまものを使って飾られた料理のいろいろ
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