手元に届いた「イマドキの日本語スパムメール」それでスパムはなくなるの?編不定期集中企画(1/3 ページ)

筆者はこの2年間、「罠アドレス」に届けられたスパムの監視を絶えず続けてきた。すでにアクティブに利用していないアドレスだったので、一時は減少するかに見えたスパムだったが……。

» 2007年10月30日 00時30分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

 読者はこの記事をご記憶だろうか? 筆者はこの記事中で「ハニーポットアドレス(罠アドレス)」を意図的に公開した。一般的なスパム防護策の第一歩としては、「メールアドレスをむやみにバラまかない」のが鉄則と言われているが、これをあえて破ってみるとどうなるかという実験だった。筆者は公的にはこのメールアドレスを使ったことはなく、届いたスパムに対して「メールを送らないでください」などと返信したこともない(が、こうした執筆活動など多少の有効利用はしている)。先の記事を書いてからかれこれ2年以上が経過しているのだが、あまり使われていないこのメールアドレスはスパムメール送信者から忘れ去られただろうか? 答えは「もちろんNo」である。

一時は終息するかと思えたが、むしろ増大中

 まず、以下の表を見ていただきたい。これは件のハニーポットに届いた月ごとのメール数、未読数、フォルダサイズとそこから計算された「一通当たりのサイズ(単位はKバイト)」だ。

私設ハニーポットに届いたスパムの推移(10/25現在)
年月 メール総数 未読 サイズ 一通当たりのサイズ
0503 21 0 48 2.29
0504 57 0 105 1.84
0505 61 0 136 2.23
0506 82 0 165 2.01
0507 104 0 356 3.42
0508 299 0 759 2.54
0509 678 437 1536 2.27
0510 899 877 2202 2.45
0511 639 637 1749 2.74
0512 241 239 518 2.15
0601 402 400 914 2.27
0602 418 417 1343 3.21
0603 435 433 1549 3.56
0604 314 310 1245 3.96
0605 433 432 1857 4.29
0606 455 421 2001 4.40
0607 596 593 2807 4.71
0608 492 490 2462 5.00
0609 376 368 1836 4.88
0610 260 253 1096 4.22
0611 308 300 1201 3.90
0612 523 505 4287 8.20
0701 477 469 2493 5.23
0702 547 522 1472 2.69
0703 688 669 1781 2.59
0704 645 633 1727 2.68
0705 874 862 2410 2.76
0706 1001 1000 2470 2.47
0707 1541 1534 4194 2.72
0708 1508 1497 4383 2.91
0709 1586 1565 4564 2.88
0710 1543 1517 4806 3.11

 一般の人が公開しているWebページやブログとは異なり、記事なのでそれなりのアクセス数とリンクが張られていたために影響(?)はかなり大きく、掲載日の夜から早速スパムが届いた。それは2005年の3月19日に届いたもので、本文はウイルスメールだ(内容はYahoo!によって消されている)。Yahoo!からのメッセージで確認してみると、第一通目は大量メール送信型で、かつターゲットマシン内に存在するHTMLファイルからメールアドレスを自動的に抜き出すマルウェアが送信したようだ(参考:McAfeeのセキュリティ情報)。私の記事をいち早く読んでくれた人のマシンがマルウェアに感染しているとは、ちょっとガッカリな感がある。

 そして半年後の2005年9月に転機を迎える。前月比2倍以上、700通近いメールが届くようになった。つまり日平均20通だ。その後増えたり減ったりして2006年10月に260通になったため、「そろそろ沈静化したかな?」と考えたが甘かった。

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