手元に届いた「イマドキの日本語スパムメール」それでスパムはなくなるの?編不定期集中企画(2/3 ページ)

» 2007年10月30日 00時30分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

 スパムは翌月からまた増え始め、この原稿を書いている2007年10月末の時点まで4カ月連続で月1500通を超えている。つまり日に平均50通である。もちろん、このメールアドレスに届くものはすべて読む価値のないものとして対処しているため、実害はない。だが、普段使っているメールアドレスがこのようなスパム洪水になってはたまらないだろう。

 とは言うものの、メールアドレスは知らせなければ意味がない。仕事などで名刺を交換すれば、当然のようにメールアドレスがやり取りされることになり、どれかがスパムのキッカケにならないとは言えない。

 などと本稿を執筆しているうちに、今月のスパムは1600通を突破した(さらに週末も届くので、今月は日に60通以上の送付になりそうだ。ありがたいことである)。

日本のスパムの特異性

 このハニーポットが現在のスパム状況を代表するわけではないが、シマンテックが毎月発表しているレポート(日本語翻訳版が閲覧可能−7月以降の閲覧は要登録&アンケート。英語版はこちらから取得可能)とかなりの差異があるのが面白い。ちなみにこのアドレスに届くスパムはほとんどが日本語スパムだ(体感で95%以上)。

件のハニーポットは日本語アダルトスパムであふれかえっており、数が増えた以外の表向きの目立った変化はない

 例えば、かなり前からフィルタをかいくぐるための手法として「画像スパム」が知られている(現在はかなり沈静化して、シマンテックの資料では9月調査で7%ほどに減った)。

 ところが、このアドレスに届くスパムはこの手の画像入れ処理を行ったのがほとんど見当たらない。これはメールボックスサイズをメール数で割った平均ファイルサイズから読み取れる。2006年12月に8Kバイトというものがあるが、おおむね3〜5Kバイト以内で、画像スパムあるいはそれから派生したPDFスパムなど(PDFスパムもSophosの調査ではほとんど姿を消したらしいが、Symantecのブログ]によれば再度復活しているとのこと)とは無縁の存在になっている。

 また、シマンテックのスパムレポートではアダルト系が少ない(9月調査で7%)が、このスパムは相変わらずエロ系が多い(体感で90%以上)。最近は借金系も増えているが、これはグレー金利撤廃の影響かもしれない(あるいは金もうけのためのスパムの一環として成功報酬制のメール送信をしているのかもしれない)。また物販系も少ない(以前しつこかった「偽ロレックス販売スパム」はまだほかのアドレスには届いている)。物販系として「裏DVD」があるが、これもシマンテックの定義ではアダルトに属している。

 エロ勧誘系の新し目のパターンは「SNS」だ。mixiと似ている名称(mixyとかsexyとかsexiなんか)がパターンだが、いくつか見た内容は出会い系サイトの勧誘とおぼしきものだった。また「重要なお知らせ」や「○○からのお知らせ」といった、タイトルや差出人が「YAHHO」などの誤解を招く表記の「釣り」パターンも相変わらずだ(これも内容は出会い系かワンクリック詐欺)。「未承諾広告※重要なお知らせ」というタイトルのメールが届いたときは、噴きそうになった。

 当時の一回だけの「アドレス晒し」でメールアドレスを収集したのがエロ系だったという推定もできるが、私が管理するメールアドレスに届く日本語スパムの多くは、冒頭で紹介した2年前の記事とあまり変わっているようには思えない。

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