定年間近の“サーバごころ”女性システム管理者の憂鬱(2/4 ページ)

» 2007年11月15日 07時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

 悩んでいたところ、本社が社内LANとは別に代理店向けに専用ネットワークの構築を進めていたことを思い出した。そこに、現在のデータをすべて移し替えてもらえば、ほかの支部に先駆けてシステムの移行も完了する。セキュリティについても、本社が総力を挙げて構築したシステムだから万全だ。

 だが、本社側に相談してみると、今度はスケジュールの問題に直面した。このシステムが使用可能になるのは、統合から1カ月後だというのだ。このスケジュールだけは、どうあがいても変更しようのないものだという。その1カ月間だけ別のシステムを立ち上げることも考えたが、システムの切り替えには各代理店にもそれなりの手間を掛けることになる。たびたびの設定変更は避けたいところだ。

 この状況を総務担当に相談したところ、移転前のオフィスは移転後に現状復帰を行ってから明け渡すため、引っ越し後1カ月くらいだったらそのサーバを置いておくこともできるという。契約している電話回線も、代理店向けの回線のみ1カ月間延長してもらい、新システムの移行まで何とか乗り切れることになった。

 1つの心配事が消えて、統合のための作業に集中していたわたしにある日、寝耳に水の連絡が入った。

やはりトラブルは起こる

 その日は、引っ越しも一段落して、工事業者によって旧拠点の回線が切断される予定になっていた。代理店向けの回線だけは残してもらうように、総務担当にはしつこいほど確認を入れていた。それなのに、ある代理店を管理する担当者から、その代理店がシステムに接続できないと言ってきているとの連絡を受けたのだ。

 その後も、別の代理店から続々と同じクレームが寄せられた。しかし、社内LAN側からはそのサーバ自体に何の異常も見られない。これはもうダイヤルアップ接続の問題しかない。

 工事を行った会社に連絡を入れると、下請けの会社の担当者に直接連絡するようにと指示された。教えられた携帯電話に確認の電話を入れてみると、その担当者は、あっさり「全部回線を切った」と答えるではないか。依頼書にはそう書いてあると言い張るその担当者に、「うちからの依頼はそうではない。早くその回線を復旧してほしい」と伝えた上で、工事を直接依頼した会社にも復旧依頼の連絡を入れ、わたしも急いで現地に向かった。

 現地には既に工事担当者が入り、納得がいかないといった顔で工事を行っていた。工事が完了すると、案の定、すべての代理店の接続も復旧した。翌日、工事を担当した会社と発注元企業との連絡ミスということが判明、両社から総務に謝罪が入って一件落着となった。

 これでようやく平和が戻ると思ったのもつかの間、それから1週間ほど経ったころ、またシステムが見えないという連絡が入った。

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