定年間近の“サーバごころ”女性システム管理者の憂鬱(3/4 ページ)

» 2007年11月15日 07時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

 今度も社内LANからの異常は確認できなかった。回線工事も入った形跡がないため、わたしは状況を確認するために、旧拠点へ大急ぎで駆けつけた。駅でいうと4つほどしか離れていない場所だが、なぜか両拠点とも駅から歩いて10分という微妙な距離にある。どんなに頑張っても30分はかかってしまう。原因が分かるまで、代理店と支部とのやり取りはメールで代行してもらうことにした。

 何とか拠点にたどり着き、ルータとサーバを確認したが、どちらにも異常は見られない。サーバの管理コンソールからルータの状況を確認したが、やはり異常は見受けられない。サーバのイベントビューワでも異常は確認できなかった。試しに、ルータを再起動してみた。携帯電話で代理店担当者に確認を取ったが、接続はできないままだという。それではとルータとサーバの両方を再起動したところ、ようやく接続に成功した。

 念のために、別の代理店にも確認したが、そちらもOKだった。それから数時間、その場でいろいろ調べてみたが、原因はついに分からず、その間、不具合の連絡も入らなかったため帰社することにした。翌日から、リモートでシステムの様子を確認することが日課となったが、特に怪しい動きも確認できなかった。

取り残されたサーバの気持ち?

 翌週、わたしは社外研修に参加するため1週間会社を留守にした。毎日、研修終了時には、会社に残るもう1人のシステム管理者A君に連絡を取り、様子を聞いてから帰宅することになっていた。そんなある日、研修が終わったと同時にひどい夕立となり、雷が鳴り響いた。その数日前に、関東近郊にある拠点が雷の影響で停電になり大変だったといううわさを耳にしていたため、ちょっと心配になってA君のケータイに連絡を入れてみた。

わたし:「雷すごいですねえ。大丈夫ですか?」

A君:「いやあ、参りましたよ」

わたし:「なんか社内に影響があったんですか?」

A君:「あ、社内がどうこうってことじゃないんですよ。例のサーバがまた代理店から見えなくなって、再起動しにこの雨の中、こっちの拠点までやってきたんですよ」

わたし:「ええー、またぁ?」

A君:「この間、聞いたときは、そんな変なことが起きるわけないって思ったんですが、今日来てみて分かりました。ほんとにどこにも異常がないんですね。今回も、ルータとサーバの再起動で復活したんです。こんなことってあるんですね」

 前回、同じ現象が起こったときにA君には詳細を話してあったのだが、やはり信じていなかったらしい。古いシステムだからかなあと、A君も納得がいかないようだった。しかし、古いとはいえ、ついこの間までは何の異常もなく動いていたシステムだ。研修先からの帰り道、いろいろ可能性を考えてみた。変わったことといえば、回線が誤って切断されたことくらいだ。それでも、その工事のときにはルータとサーバ側には何の手も加えられていない。

画像

 わたしは復旧工事のときのことを思い浮かべてみた。すべてのユーザーが移転して、真っ暗でがらんとしたオフィスに、そのサーバとルータはなんとも寂しげにたたずんでいた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ