検索は次なるイノベーションを巻き起こすのか次世代検索の行き先(2/2 ページ)

» 2007年11月26日 07時00分 公開
[栗原潔,ITmedia]
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バーチカル検索

 現在のインターネット上における主流の検索エンジンは、一定のアルゴリズムで結果をランキングしている。例えば「パリ」という単語を、ファッション情報を知りたいときとフランスに出張に行くときといった異なる目的で検索した場合、同じ情報が出る。この事例から、ユーザーのコンテキスト(文脈や背景情報)を認識した検索結果を返すものが必要となるだろう。

 バーチカル検索は、特定分野や目的にフォーカスした検索で、コンテキスト認識型検索への第一歩として位置付けられている。最も一般的な例はテクノラティなどのブログ検索だ。また、より革新的で興味深い事例に、人物の検索に特化した「Spock」がある。これは単にネット上の人物関連の情報を抽出するだけはなく、人というエンティティを理解した検索結果を提供する。

 通常の検索エンジンで「エリック・シュミット」と検索すると、結果の最初の数ページはGoogleのエリック・シュミットCEOの情報で占められてしまうだろう。しかし、Spockで検索すると、Google CEOと同姓同名であるほかのエリック・シュミット氏の情報も容易に検索できる。Spockは検索精度の点では課題が残るが、注目に値するアプローチといえるだろう。

 バーチカル検索には画期的なテクノロジーが必要というわけではないが、クローリング対象となるWebサイトの選択や、ユーザーエクスペリエンス設計など、人手を介したチューニングや工夫が必要となるだろう。

サイト内検索

 サイト内検索の適用範囲は、インターネット、イントラネット、デスクトップ、そして特定のアプリケーション内(ドキュメント管理システム内の検索)が挙がる。それぞれの範囲における検索処理の仕方は同じだが、求められる特性が微妙に異なるため、適材適所のテクノロジーが使われている。

 これとは別に、ショッピングサイトや新聞社サイト、企業サイトといった特定Webサイト内の検索にも使われている。もちろん、すでに検索機能が提供されているが、ユーザーに適切なエクスペリエンスを提供しサイト内の情報の価値を高めるために、サイト内検索を見直すことはまだまだ必要といえる。

 日本の多くのWebサイト内検索は、ドメインを指定したGoogle検索や、オープンソースの簡単な検索ツールの使用にとどまっている。結果として、企業はビジネスチャンスを逃している。例えば、新聞社サイトが強力な検索機能を導入することで、過去記事販売という新たなビジネスモデルが生まれるかもしれない。また、サイト内にGoogle AdWordsやAdSense的なコンテンツ連動広告を取り入れることも考えられるだろう。サイト内検索はまだ十分に開拓されていない分野で、イノベーションの余地は大きい。


 検索関連のイノベーションについていくつか述べてきたが、事例はまだまだあるし、新しい動きも毎日のように起きている。これからバブル的な浮き沈みがある程度発生すると予測できるが、検索テクノロジーは長期的に注目すべき分野であるといってよいだろう。

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