「複雑なITを最適化するアドバイザーを目指す」――シマンテックの木村社長2008年新春インタビュー(1/2 ページ)

旧ベリタスソフトウェアと旧シマンテックの合併から2年あまり。2007年は統合後のシマンテックが本格始動する1年となった。企業のITインフラとセキュリティの2大領域で事業展開する同社の2008年の戦略とは?

» 2008年01月04日 08時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 2005年に旧ベリタスソフトウェアと旧シマンテックが事業統合して発足した新生シマンテックにとって、2007年は旧来から強みとしてきたバックアップソフトなど企業向け製品とセキュリティ製品のシナジーを追求する1年となった。情報システムが複雑化し、セキュリティの脅威が深刻化する中で2008年はどのような戦略を展開するのか。木村裕之社長に聞いた。

ITmedia 合併から2年が経ち、昨年は製品領域の統合化を推進するなど新生シマンテックとしての特徴を強く打ち出しましたね。

木村 現代はさまざまなITのインフラやサービスが複雑につながっています。われわれは、ITを安心して利用するための基盤作りをこれまで目指してきましたが、2007年は製品・サービスのレベルでこの考えを体現できるようになりました。

「未来が描けるITにするべく、2008年は忙しい1年にしたい」と話す木村社長

ITmedia 旧ベリタス、旧シマンテックという垣根は取り払われたのでしょうか。

木村 2社の統合がだいぶ前の出来事のように感じられるほど、今では1つの組織として機能しています。顧客など社外の一部の方は、昔のイメージをお持ちになっているかもしれませんが、旧2社で重なっていた製品の統合も進み、新しいシマンテックとしてのスタンスを確立しつつあると思います。

「統合最適化」がテーマ

ITmedia 昨年は、企業システムの領域で「Storage United」というコンセプトを発表されました。

木村 データ量は増加の一途をたどり、企業は日々、システムの拡張やデータのバックアップ、アーカイブ化などの業務に追われています。企業活動のグローバル化という要因も加わり、さまざまなベンダーの製品、OS、ハードウェアが企業内に乱立する状態となりました。いざ、これらの1つひとつ最適化したいと考えても、実際には不可能だというのが実情です。

 われわれが製品やサービスの統合化を進めてきたのは、このような企業の課題に対して、最適なソリューションを提供することが目標としてあったからです。2007年後半から本格展開を始めたコンサルティングサービスでは、複雑なシステムが抱える課題やリスクを評価・分析し、セキュリティも含めた包括的な対策を提供しています。

 ITシステムを内と外の両側から守っていくということが、規模を問わず、あらゆる企業から求めれられるようになりました。

ITmedia セキュリティでは、フィッシング詐欺やボットなど脅威が台頭し、Webの脆弱性を利用するような犯罪が増えています。

木村 特に注目しているのは、セキュリティ犯罪がビジネスとして成立し、市場が形成されつつある点です。「MPack」のようにマルウェアを開発するための道具が“プロ用ツール”として売買されるようにもなりました。

 ITインフラと同様に、セキュリティの領域でも、アンチウイルスやパーソナルファイアウォールといった個々の対策をするだけでは、脅威を防ぐことができなくなりつつあります。

 セキュリティの脅威ではありませんが、2007年は企業の情報システムで発生した障害が社会生活に大きな影響を与えるという出来事も話題になりました。ITのリスクを考える場合、もはや企業、個人という垣根を超えて、関係するあらゆるものを保護していく取り組みが重要になっています。

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