MicrosoftはSQL Server 2008でも、OracleやIBMより安く売る価格戦略を続ける。
米Microsoftは、機能以外の要素も使って「SQL Server 2008」に注目を集めようとしている。そのために価格設定も活用しようとしている。
同製品は2月のイベントで発表され、第2四半期にリリースされる予定だ。ライバルのOracleを倒すことを目指した価格戦略を掲げて市場に登場する。
EnterpriseエディションはSQL Server 2005から価格を据え置き、CPU当たり2万4999ドルになる予定。これに対してOracleの11gデータベースEnterpriseエディションはCPU当たり4万ドルから。こちらも前バージョンから価格は変わっていない。
SQL Serverの製品管理ディレクター、フランシス・アジェンスタット氏によると、Microsoftはこの価格で11gよりも安く売れると期待している。さらに同社は、一部機能に課金しない、場合によっては一部機能を提供しないことで総所有コスト(TCO)を引き下げようとしている。例えば、SQL Server 2008では新たに空間データサポートが追加されているが、空間アプリケーションの構築はパートナーに任せている。OracleがOracle Spatial 11gで同様のオプションに追加料金を課しているのとは反対だ。
「これはOracleに対するMicrosoftの差別化要因だと考えている。Oracleはこの新機能に今も追加料金を課している」(アジェンスタット氏)
この主張は、Microsoftにとって重大だと分かるかもしれない。同社はOracleの11gとIBMのDB2 9.5よりも数カ月遅れて次世代データベースをリリースする。
「競合製品ではライセンス料を余分に払わないと追加機能を使えないことが多いというMicrosoftの主張は妥当だ」とThe 451 Groupのアナリスト、マット・アスレット氏は語る。「だが、MicrosoftはSQL Serverの利点として価格体系のシンプルさに焦点を当てるとみられるが、その点で、特にオープンソースデータベースからの挑戦を受ける」
Gartnerのアナリスト、ドナルド・フェインバーグ氏は、Oracle Real Application Clustersを除けば、3大データベースベンダー――IBM、Microsoft、Oracle――はほぼ変わらないと指摘する。
「(SQL Server 2008は)他社の後追いの機能もあれば、かなり進んでいる機能もある」と同氏は言う。「例えば、パーティション化、整列化されたインデックスビューがそうだ。File StreamはOracleのSecure Filesに似ているが、これは11gでは8月に登場したばかりで、Microsoftでは2008年のリリースだ。後追いではないが、Microsoftでは無料、Oracleでは有料の機能の1つだ。Microsoftは2008年に行と列の圧縮機能を無料で提供する。Oracleは11gで行の圧縮を有料で提供している」
Microsoftはこれまで、SQL Serverの価格の安さとMicrosoftのほかの製品との統合のおかげで、機能の深さと幅で競合に後れを取りながらも前進することができたとアスレット氏は言う。同氏は先日公開した報告書で、IBMがCognosを買収し、OracleがHyperion Solutionsを買収したことを考えると、BI(ビジネスインテリジェンス)が主戦場になる可能性が高いと予測している。
「Microsoftが、たとえ提供開始時期がずれていても、Windows Server 2008、SQL Server 2008、Visual Studio 2008を一緒に立ち上げるのは偶然ではない」(同氏)
アジェンスタット氏は、Microsoftがこれら3製品の間の価値命題(と同氏が呼ぶもの)の推進に関心を持っていることを認めた。SQL ServerとOffice SharePoint Serverなどのツールの統合は同社のBIアプローチの重要な部分だと同氏は付け加えた。
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