Mac OS Xユーザーにとって不満の残る「Office 2008」(1/4 ページ)

Windowsとの互換性。Microsoft OfficeのMac OS Xサポートは、使い勝手だけでなくマルチプラットフォームも実現するオフィススイートなはずだった。しかし、新版を見ると、幾つかの疑問点も浮かび上がってきた。それは?

» 2008年01月15日 19時22分 公開
[Tiffany Maleshefski,eWEEK]
eWEEK

 Mac OS X用のMicrosoftのプロダクティビティスイート「Office 2008 for Mac」は、高速で使い勝手も良くなっている。しかし、Exchangeのフルサポートが欠落しているというのは理解に苦しむところだ。これは、Windowsの世界との互換性をMacに提供するというOffice 2008の基本的使命から逸脱するものである。

 MicrosoftがMac向けに「Office 2004」をリリースして以来、ユーザーは同スイートの電子メールクライアント「Entourage」でExchangeをサポートするよう声高に求めてきた。これは当然の要求だ――結局のところ、Appleのコンピュータのユーザーが広いWindowsの世界にできるだけシームレスに連携できるようにすることが同スイートの存在理由なのだから。

 しかし4年にわたる開発期間を経て投入されたMicrosoftのOffice 2008 for Macの電子メールクライアントは相変わらず、Windows版の電子メールクライアントであるOutlookと比べると機能的に劣り、TasksとNotesの同期化、.PSTファイルのインポート、パブリックフォルダへのアクセスといった重要な機能のサポートが欠落している。

 Office 2008 for Macでは、Microsoftが1年前に提供を開始したデフォルトファイルフォーマットのOOXML(Open Office XML)のサポートが追加されており、Word、Excel、PowerPointの扱いは、Appleの「iWork」やSunが主導するオープンソースの「OpenOffice.org」スイートよりも優れているが、Visual Basicマクロのサポートが外されたことでファイルフォーマットの互換性という点ではOffice 2008はやや後退した感がある。

 こういった不備はあるものの、Office 2008 for Macは多くの企業にとって価値のあるアップグレードだと言える。最大の理由は、Appleのユニバーサルバイナリフォーマットが新たにサポートされたことだ。これにより、PowerPCベースとIntelベースのMacの両方でOffice 2008をネイティブで動作できるようになったからだ。Office 2004 for Macの場合、Intelハードウェア上ではエミュレーションモードで動作するため、同スイートは耐え難いほど遅いという不評を買うことになった。

 さらに、筆者がOffice 2008のテストを行ったところ、使い勝手の面でも重要な改善が加えられていることが分かった。「Elements Gallery」「SmartArt Graphics」「OfficeArt」ツールなどの機能が強化され、見栄えのする文書を簡単に作成できるようになった。

 見方にもよるだろうが、Office 2008のもう1つの利点(あるいは欠点)は、Windows版の「Office 2007」で導入されて大いに議論を呼んだ「リボン型」ユーザーインタフェースが採用されなかったことである。Office 2008では一部の機能がタブで整理され、大多数の機能は「File」「Edit」「View」といった従来からなじみのあるドロップダウンメニュー内に収められている。

 しかし総合的に判断すれば、Exchangeのフルサポートの不可解な欠如およびVisual Basicマクロのサポートの欠落はいずれも、Windowsの世界との互換性をMacに提供するというOffice 2008の基本的使命から逸脱するものであり、また、AppleのiWork '08が79ドルであり、OS Xには無償の電子メールとPIM(個人情報管理)ツールがバンドルされていることを考え併せると、同製品の400ドルという値札(アップグレード版は240ドル)は多くのユーザーにとって受け入れ難いと言わざるを得ない。

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