COBITのプロセスは、どのような形で説明されているのだろうか。
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これまでも解説してきたとおり、COBITでは4つのドメインに対して34のプロセスで「なすべきこと」を説明している。この説明が(賛同できるかどうかは別にして)非常に分かりやすい。COBITそのものは参考にしなくても、この「まとめ方」だけでも参考にしたい。
各プロセスは4ページ単位(場合によっては5ページ、6ページにまたがることもある)にまとめられている。これは「各プロセスが4つの視点で説明されている」ということである。その4つの視点とは、次の通りである。
すべてのプロセスは、この4つの観点で明瞭に記述されている。
今回は、COBITにおけるプロセスのポイントを学習していこう。例として、PO(計画と組織)の最初に紹介されている「PO1 IT戦略計画の策定」を挙げながら説明する。
どのプロセスの説明も「コントロール目標」、すなわちこのプロセスはどのような目標をもって存在しているのか、ということから始まっている。最初に目に入るのは、図1に記した3つの図であろう。
これは、そのプロセスが以下のどこに重要に関係しているか、ということを示している。
ビジネス要件のP(おそらくPrimaryの略)は最も関係していると考えられる要素、S(おそらくSecondaryの略)は副次的に関係していると考えられる要素である。「PO1 IT戦略計画の策定」プロセスは、有効性に最も関係し、副次的に効率性に関係しているということになる。ITガバナンスの重点領域に関しても同じである。
マークが付いていない項目についてはまったく関係していないわけではない。あくまでも優先順位の問題である。ITガバナンスを考慮すると決めたところで、34個のプロセスをすべて一度に導入はできない。最初はいくつかのプロセスを選択して導入することになるだろう。その際、例えば「ウチの会社はビジネスの有効性を上げることに焦点を当てよう」と決めたのであれば、PO1の導入はそれに貢献するだろう、と読める。
次に、コントロール目標がウォーターフォール式に述べてある。すべてのプロセスは、次の形式で説明されている。
A:〜のコントロール目標は、
B:〜〜をビジネス目標とし、
C:重点を置くべきコントロールは、〜〜である。
D:実現するための手段は、〜〜である。
E:その成果の測定指標は、〜〜である。
上では、何が目標で、そのためになすべきことは何で、成果を測定するためにはどこを見ればよいか、ということが簡潔に述べられている。「PO1IT戦略計画の策定」プロセスでは、次のようになっている。
A:IT戦略計画の策定のコントロール目標は、
B:便益、費用、リスクに関わる透明性を高めるとともに、ビジネス戦略やガバナンス上の要件を不断に維持し、もしくは発展させることを、ビジネス要件とし、
C:重点をおくべきコントロールは、ビジネス要件を満たすために、どのようなサービスを提供するかという検討に際して、ITとビジネスのマネジメント層が連携すると同時に、サービスを実現するために、透明性が高く、効果的な方法により戦略を策定することである。
D:実現するための手段は、次の3項目である。
E:その成果の測定指標は、次の3項目である。
もっとも、この記述はどんな企業にも当てはまるよう汎用的に書かれているので、それぞれの会社の実情に合うように「翻訳」しなければならないのだが。
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