「完ぺきなフォーマットはない」――MS、Open XML標準化について語る

Microsoft幹部がOpen XML標準化プロセスについて説明、OpenDocument FormatやIBMへの批判も飛び出した。

» 2008年01月18日 16時53分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 完ぺきなフォーマット標準はない。フォーマット標準は時間をかけて変化し、向上していく進化する存在だと、Microsoftの企業責任および標準部門ジェネラルマネジャー、トム・ロバートソン氏は1月16日のメディアイベントで語った。

 Microsoft独自のOffice Open XMLフォーマットは、現在進行中のISO/IEC標準化プロセスを通じて進化していると同氏は述べ、Ecmaの厳しい標準化プロセスを通過した真のオープンな規格だと強調した。Ecmaはその後、この規格を承認のためにISO/IECに送った。

 ロバートソン氏はまた、競合するODF(OpenDocument Format)をやり玉に挙げ、ODFは顧客のニーズを満たさないし、後方互換性がなく、カスタム定義されたスキーマをサポートしないと語った。

 「当社の顧客からは、Open XMLに組み込まれている高い機能性が必要だと言われた。当社は、ニーズに合わない、また最初からニーズに合っていなかったフリーサイズ的なソリューションを顧客に押しつけるべきではないと確信している」(同氏)

 Microsoftは、同社が賛成票を得るために他社を強引にISO/IEC標準化プロセスに参加させたと言われていることについて異なる見解を持っていると同氏は語り、競合するODFを支持するIBMを批判した。

 「このプロセスを以前のように、IBMなど従来の古い保守的なIT企業に密室でやらせるべきではない。関心がある者が誰でも議論に参加できるオープンなプロセスが必要だ」(同氏)

 Microsoftは2007年9月の投票で、Open XMLをISO標準化するのに必要な3分の2を超える賛成票を得られなかったが、Ecmaの委員会は国家代表機関が投票時に寄せた意見に対処するために膨大な作業を行った。Microsoftもこれに参加し、この件に関して最近発行された報告書は優れた成果だと感じた。

 「この報告書は各国家代表機関のコメントに対処していると確信している。懸命の作業でたくさんの素晴らしい改良が加えられており、もっと多くの機関が今四半期に改良版のOpen XMLに賛成票を投じてくれると期待している」(ロバートソン氏)

 だが同氏は、この投票には世界中の多くの国や人々が関心を持っており、彼らには――Open XML支持者に限らず、ODF支持者にも――標準化プロセスにおいて発言する権利があるはずだとMicrosoftは確信していると強調した。

 「(話し合いの)テーブルは十分に大きく、みんなが座れる。このプロセスが以前よりも包括的になっていることは喜ばしい」(同氏)

 Open XMLがISO/IEC標準として承認されなかった場合にどのような影響があるかとの質問に、同氏は、Open XMLは既にEcma標準となっており、コミュニティーに提供されており、急速に採用が進んでいると答えた。

 「この状況は続くと思う。問題は、グローバルコミュニティーがこの規格の発展に対して発言権を持ちたいと思うかどうかだ。それこそが、ISO/IEC承認プロセスで実現できることだ」(同氏)

 異なるフォーマットを変換する完ぺきな変換ツールを作ることが可能かどうかに関しては、ロバートソン氏はそんなものはないと答えた。コミュニティーがプロセスに参加する必要があり、そうすれば変換は最適化され、絶えず改善されるだろうが、2つのフォーマットが違っているという事実は変わらないと同氏は指摘した。

 相互運用性については、同氏は、この問題は顧客にとってセキュリティや信頼性と同じくらい重要だと語った。このため、Microsoftは競合相手も含めて、他社と相互運用性実現に向け協力している。

 Microsoftにとって、相互運用性とは、人、データ、多様なシステムをつないで、現実の顧客の懸念に対処して、革新を可能にすることを意味すると同氏。

 だが同氏は、相互運用性の面でやるべきことがまだたくさんあることは認めている。「完ぺきかと聞かれれば、答えはノーだ。来週までにすべての問題が片付くかというと、それもノーだ。だが、作業は続いている」

 欧州連合(EU)の独禁法問題に関して、ロバートソン氏は9月のEU第一審裁判所の判決は大部分が相互運用性とプロトコル共有に関するものだと語った。欧州委員会は、プロトコルのオープン化と共有が必要だと考えており、Microsoftはそれを実現するべく取り組んでいるという。

 同委員会は1月14日に2件の新たな調査を開始した。これは相互運用性にも一部関連しており、「われわれは世界中のすべてのルールや法律に従うべく協力している」と同氏は語った。

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