トラブルコールよりバーゲンを優先。でも許して。悲しき女子ヘルプデスク物語(5/5 ページ)

» 2008年01月23日 08時00分 公開
[鐙貴絵,ITmedia]
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 ふぉ、フォーマット? 何を? フロッピー? さっき「何もしていない」って言ってなかったか? 落ち着け、私。

 「外付けハードディスクの電源を入れる前は、どんな作業をしていましたか?」

相手 「仕事に必要な写真をデジカメで撮ってきて、そのファイルをデスクトップにコピーしたぐらいかな。」

 「ん? デジカメを直接PCに接続したのですか?」

相手 「いえ、SDカードをメディアカードリーダーで読ませました。」

 「そのメディアカードリーダーは、普段からPCに接続されているものですか?」

相手 「さっき、接続しました。」

 何もしてないって……。やっぱり、なんかしてるやーん!

 賢明な読者の皆さんはお気付きだろうが、メディアカードリーダーのSDカードが、PCからEドライブとして認識されていたのだ。それなら「DCIM」というフォルダが残っていそうなものだが、このユーザーはデジカメの写真をデスクトップにコピーした後、ご丁寧にもSDカードをフォーマットしたのだった。

 結局、外付けハードディスクはFドライブとして認識されていた。「マイ コンピュータ」を開けば一発で解決したのだろうが、「ファイルがない!」というだけでパニックになってしまったのだろう。私の脱力したため息よりも、ユーザーの「(ファイルが)あって良かった〜」という安堵のため息のほうが大きく聞こえたのが印象的であった。

 トラブルコールの主を質問攻めにすると、ほとんどのユーザーが「何もしていない」と言う。一度でいいから「ほんまやな?」と聞いてみたい(ちなみに私は関西在住です)。いや待てよ。 彼らは「問題が発生した部分に関しては」確かに何もしていないんだ。メディアカードリーダーを接続したことが、問題の直接の原因だということに気付いていないだけなのだ。そう考えると、やはり私のような立場の人間は必要なんだろう。

 私も駆け出しの管理者だった頃は、このワケの分からない小さな箱(PCのことね)にどれだけ振り回されたことか。思い出せば私も「何もしてないのに動かなくなった!」と当時のシステム管理者に八つ当たりしていたような気がする(反省しています……)。

 ユーザーの説明をすべて信用するとトラブルの解決は遠のく。ユーザーの訴えてくることの中から、トラブルの解決になりそうなキーワードを拾い集めるしかない。ここまで書いてふと思う。トラブルシューティングを本業にしているコールセンターやヘルプデスクの皆さんは本当にすごい。彼らのプロ意識のおかげで、会社のITは動いているのだから。

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