トラブルコールよりバーゲンを優先。でも許して。悲しき女子ヘルプデスク物語(1/5 ページ)

退社間際のトラブルコール。アフター5を楽しみたいけど、困っているユーザーを放ってもおけない。悩ましいところである。

» 2008年01月23日 08時00分 公開
[鐙貴絵,ITmedia]

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 ユーザーを信用してはいけない――これは私が、いつも心でつぶやく「不謹慎な」ひと言である。私なりに色々な意味を持つ言葉だけど、要は「ユーザーの状況説明は、うのみにできない」ということだ。

ここで一句。「帰りたい 時にはいつも トラブルコール」

 「さぁ、今日の仕事が終わった!(誰かにつかまらないうちに)帰ろう!」という時ほど、どこからか、電話がかかってくるものだ。そしてマーフィーの法則じゃないけれど、そういうタイミングの電話ほど不吉なものはない。私は冬物バーゲンに参戦したり、年末年始に出たゴミを片付けたりで早く帰りたいのに……。誰かが私の生活をのぞいているのか? それとも嫌がらせ? と感じることさえある。ちょっと被害妄想気味。

 いずれにしても退社間際の電話なんて出るものじゃない。そう分かっているはずなのに、条件反射か、周りの人への見栄なのか、つい受話器を取ってしまう。そして大抵、途方に暮れたような相手の声を聞いて「しまったっ」と思うのだが、後の祭りである。もしかして私、学習能力が無いのかも……。

早く帰りたいときに限って、トラブルコールが(イラスト:本橋ゆうこ)

 さて、今日は待ちに待ったバーゲンセールの日である。クリスマスに「自分へのご褒美」なんて言って、いろいろなものを買い漁ったばかりなのに、完全に買い物モードのスイッチが入っている。「今日こそは早く帰るぞ!」と意気込んでいたら、突然電話が鳴った。そして、ついうっかり、それを取ってしまったわけである。

 電話の主は、「すみません、ネットにつながらないんですけど……」と切り出した。そこから先は言葉にならない様子だ。

 「どうしました? 落ち着いて話してみてくださいね」と(優しく)声をかけると「ネットがつながらないんです。さっきから何度もやってるんですけど……」と今にも泣きそうな声で同じコトを言う。私は(何を「何度も」やってるんだろう?)という思いと、(またネットワークの不具合か?)という不安を交錯させながら、詳しい状況を聞いてみた。しかし、相手はPC初心者のようで、どうも会話がかみ合わない。

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