IBMでは、マッシュアップの管理と標準化を目指し「Lotus Mashups」を年内にリリースする予定だ。
さまざまなソースからの情報を集約するアプリケーションを作成してビジネスに役立てたいと考えているビジネスユーザーは、IBMが今年投入する「Lotus Mashups」によってその願いがかなえられるかもしれない。
Lotus Mashupsは各種のソフトウェアフィードやウィジェットを「マッシュアップ」し、有用性の高いビジネアプリケーションを作成することを可能にする。IBMによると、ビジネスユーザーはITスタッフに手取り足取り教えてもらわなくても、そういったアプリケーションを作成できるようになるという。
「例えば、マーケティング、販売、業務管理などを担当する従業員は、気象情報、販売データ、在庫情報などのデータを状況対応型アプリケーションにドラッグ&ドロップできるようになる。こういったアプリケーションは必要に応じて利用し、容易に廃棄することができる」――IBMでポータルとWebサービス連携を担当するラリー・ボーデン副社長は1月23日、フロリダ州オーランドで開催中の「Lotusphere」カンファレンスでの記者会見でこのように説明した。
しかしハイテク製品の常として、知識の利用を容易にすることを目的とした技術であっても、企業にとって頭痛の種になる可能性もある。記者会見では、「マッシュアップがひどい状態になれば、深刻な結果を招く恐れがある。IBMはそれにどう対処するつもりか」という質問も出た。
ボーデン氏は、野放図なマッシュアップはIT部門にとって非常に懸念すべきことだと認め、「アプリケーションがネットワークに障害を与えることのないよう、企業はマッシュアップしてもよいアイテムを承認する権限をIT部門に与えるべきだ」と述べた。ビジネスユーザーはデータをマッシュアップできるが、どのデータセットを組み合わせていいかを最終的に承認するのはIT部門でなければならないという。
「IT部門はユーザーを制約するのではなく、組み込まれるウィジェットの特性を把握することにより、それらを管理できるようにするのである」とボーデン氏は話す。
社内での業務利用にまつわる問題に加え、もう1つはっきりしているのは、ユーザーおよびIT部門にとって共通のマッシュアップ標準が必要であるということだ。
別の質問者は、「がらくた」マッシュアップがたくさん出回っていると指摘した上で、「IBMはマーケティング力と技術力を活用して、マッシュアップ技術のコミュニティー版を開発するつもりはあるか」と尋ねた。
ボーデン氏は、IBMではマッシュアップとウィジェットを管理するための標準の実現に向けて努力していると語り、GoogleやYahoo!などから提供される広範なウィジェットをサポートすると約束した。
Lotus Connectionsの活用事例を紹介するために出席していたSocialtextのロス・メイフィールド社長は、マッシュアップのセキュリティとプライバシーをめぐる問題に関して全社的に意識を高める必要があると述べた。
Lotus Mashupsは年内にリリースされる予定で、既に出回っている広範なマッシュアッププラットフォームの仲間入りをすることになる。この分野では、Microsoftの「Popfly」や、Serena、Jackbe、Nexawebなどのベンダーが提供する企業向けマッシュアップツールが存在する。
また記者会見では、IBMでソーシャルコンピューティングを担当するジェフ・シック副社長が「Lotus Quickr」のバージョン8.1を披露した。これはIBMのコラボレーションワークスペースで、ナレッジワーカーがより効率的に共同作業をすることを可能にする。
シック氏によると、Lotus Quickr 8.1にはコンテンツライブラリ、チーム会議室、ブログ、Wikiなどの機能が含まれるという。また、Quickrシリーズに追加される予定の「Lotus Quickr Entry」では、従来のLotus Quickr機能(コネクタなど)のサブセットを通じて個人ファイルの共有が可能。
Lotus Quickrは、「IBM FileNet P8」や「IBM Content Manager」などのエンタープライズコンテンツ管理システムとも連携する。将来的には、ほかのシステムとの連携も予定されている。
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