Cognosのロブ・アッシュCEO――IBMの下で働くことについて(2/2 ページ)

» 2008年01月28日 19時42分 公開
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今後のトレンドは統合とWeb 2.0

―― CognosがIBMの傘下に入った後のあなたの役割はどうなりますか。

アッシュ IBMの情報管理グループ内でCognosチームを率いることになります。わたしは長期的にこの任務に専念するつもりです。

―― 最近、Information BuildersのCEOと話す機会がありましたが、彼は独立を維持するつもりだと言っていました。あなたも以前、独立を維持するというCognosの方針について語っていました。こういった姿勢は逆に、この市場で独立したIBベンダーであり続けるのは難しいのではないかという疑問を提起するものです。

アッシュ 株主にも権利があるのです。1年という短い期間で、Oracle、SAP、IBMは大規模な買収を通じてBIパフォーマンスマネジメント市場の70%を手に入れました。残りの30%に含まれるベンダーにとって独立性の維持は重要であり、彼らもその方針を語ることはできますが、問題は、大手ベンダーが推進する標準が普及するのに伴い、これらの独立ベンダーは大口顧客から大きなプレッシャーを受けるようになるということです。彼らには道は残されていないとは言いたくありませんが、ますます困難な道になるでしょう。われわれは独立企業として満足していましたが、IBMが当社を求めたのです。両社は契約条件で合意に達し、われわれは大きな影響力を行使できる立場を確保できたのを喜んでいます。

―― BIオンデマンドについてはどうお考えですか。

アッシュ 今後、普及が進むと思います。しかしBIオンデマンドという広範な市場は、まだ極めて初期の発展段階にあります。BIをめぐるチャレンジとしては、大量のデータを動かさなければならないことがあります。これは、Salesforce.comや、多数のユーザーが入力するデータがデータベースに蓄積されていくシステムのような1対多の関係ではありません。ユーザーに返されるデータはそれぞれ異なり、データの利用方法もユーザーによって異なります。つまり大量のデータが動かされ、さまざまな形でデータをモデル化する必要があるのです。これは時とともに発展する市場ですが、そういったチャレンジが存在します。

―― ほかにも大きなトレンドが現れつつありますか。

アッシュ Web 2.0は大きなトレンドです。現在は、われわれが得意とする統合プラットフォームやパフォーマンスプラットフォームが市場を推進する段階にあると考えています。これは大きな波であり、その頂上はまだ見えません。わたしが特にわくわくしているのは、Web 2.0が提供する機能です。パフォーマンスマネジメントにとっての障害を打ち破るものだからです。パフォーマンスマネジメントの本質はコラボレーションにあるのです。この分野でも、ほかの人が行った作業とマッシュアップしたり、ほかの人が提供するサービスに登録するといったアイデアが出てくるでしょう。現時点ではまだ空想的な段階ですが、こういった空想の中にコラボレーションの方法に関する面白いアイデアがあるのです。

―― BIソフトウェアデベロッパーなどの企業が、Web 2.0機能の開発で行き過ぎる恐れはないでしょうか。例えば、雇用主がFacebookやMySpaceから従業員のプライベートな情報を取得できるようにする、といったことです。

アッシュ Facebookの販促プロモーションで、ユーザーが購入した品物に関する情報がコンタクトに提供されたことで、そのユーザーが浮気相手にプレゼントをしていることが妻にばれるというのも、そういった例だと思います。この問題については、まず、われわれが越えてしまいかねない一線があるということです。第2に、すべてが極度に複雑化してしまうという複雑さの壁があります。最も大切にすべきことは、本当に重要な問題を解決するのに必要なシンプルさです。あまりにも手が込んだソリューションも見受けられます。ご指摘の通り、開発が行き過ぎる危険性はあると思います。

―― それは技術の問題なのでしょうか、それともソフトウェアデベロッパーが何らかの基準を打ち出すべきなのでしょうか。

アッシュ 顧客の要求の問題だと思います。技術者はとにかくあらゆるものを結び付けようと考えるものです。彼らはチャンスがあるところに向かい、人々はそれにお金を払うのです。つまり、そのようなスイートスポットを見つけられるかどうかという問題なのです。

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