chumby――米国生まれの情報端末に家電の未来を見るGadget Hacks(1/3 ページ)

FOOキャンプで産声を上げたchumbyは、これまでの情報端末の姿を変える可能性を秘めている。何より、開発元がハッキングを推奨するといういい意味でGeekのためのデバイスとなっているのが素晴らしい。

» 2008年02月04日 07時00分 公開
[kinneko,ITmedia]

 読者の皆さんは、毎朝目が覚めたら、まず何をするだろうか。忙しい朝の時間、身支度や食事はともかくとして、外界とどのようにコミュニケーションを図っているだろう。

 PCのスリープを解除してメールをチェック。RSSリーダーを起動して今朝のニュースやブログをチェック。twitterで知り合いの動向をチェック。今日のTV番組表を見て録画予約を入れる――この記事を目にするような方であれば、こんな感じだろうか。

 朝の時間をあわただしく過ごす方や、さほどPCを活用されない方の生活だとどうだろう。「めざましテレビ」などの情報バラエティにチャンネルを合わせ、ゴシップやニュース、天気予報などを眺め、今日の占いに一喜一憂する。新聞を広げて昨日のニュースと今日のTV番組をチェック。その合間には、身支度を整えながら時間をチェック……。

 こうして見てみると、チェックするコンテンツというのは数多く存在していることが分かる。ITを駆使して情報収集するには多くのツールを自力で使いこなす必要があり、TVに頼れば情報の提示は放送局まかせで、選択できるのはせいぜいチャンネルくらいなものだ。

 いずれにせよ、もはやルーチンワークと化したこれらの行動を、いままでと違う形で手助けしてくれるデバイスがある。chumbyだ。

左がchumby。隣のマグカップと比べるとサイズなどが想像できるだろう

chumbyの誕生

 2006年8月、ティム・オライリーの仕掛けるFOOキャンプに参加した人間は、幸運としかいいようがない出来事に遭遇することができた。

 FOOキャンプは、O'Reilly社の仲間と認められた人だけが招待される特別なパーティーで、数百名の参加者はオライリー出版のキャンパス内にテントを張ってキャンプを楽しみつつ交流を深めていくイベント。2006年のFOOキャンプでは、以前からFOOキャンプに参加していた現chumby社の主要スタッフらによって、すでにアイデアとして存在していたchumbyが参加者の眼前に実体を伴って登場したのだ。

 まだ手作りのプロトタイプではあったが、chumbyを前に参加者は驚喜した。その模様は、ディム氏自身によって“The birth of Chumby”という一文にまとめられている(yomoyomo氏による日本語訳もある)

 chumbyは無線LAN内蔵のLinux PDAに、ふわふわの着ぐるみを着せたようなデバイスで、ハードウェア/ソフトウェア的には、特段に変わったところはない。ホームページにも「hackable」と書かれていることからも分かるとおり、搭載されたadobeのソフトウェアを除くと、ハードウェア設計も内蔵ソフトウェアもすべて公開されており、開発者はhackを楽しむことを推奨されている。

 FOOキャンプの後、chumby社は、ベンチャーキャピタルから500万ドルあまりの資金を得て、プロトタイプ数百台をハッカー向けに無償で配布し、2007年10月からは量産モデルを有償(180ドル程度)ではあるが開発者向けに配布を開始している(※いまのところ、米国国内への発送しか受け付けていないため、日本から入手するには発送代行を行ってくれる業者に頼む必要がある)。なお、近日中に一般商品としての販売を開始するというアナウンスが行われているが、いまのところその日程は明確になっていない。

 市販化を目前にしたchumbyは何を目指しているのか。それを確かめるべく、chumbyを入手してみた。

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