急成長する市場 3D空間を自由に動くマウス――3Dconnexion

指先で軽く押したり傾けたりするだけで、「Google Earth」を自由に飛び回れるマウスをご存知だろうか。開発を手掛ける米3Dconnexionの営業責任者が見据える新たなターゲットとは?

» 2008年02月06日 00時30分 公開
[伏見学,ITmedia]

 3次元空間をスムーズに移動できるマウスを開発する米3Dconnexion。セールス担当の副社長であるマイク・クロスビー氏は1月25日、ITmediaの取材に対し、マーケットの広がりと今後の戦略を語った。

マイク・クロスビー氏(左)と日本支社長の松浦武敏氏 マイク・クロスビー氏(左)と日本支社長の松浦武敏氏

ITmedia 今回来日した目的は何ですか?

マイク 日本市場の特徴やニーズ、動向の把握が目的です。われわれは日本に対する期待やコミットメントが大きく、重要な市場と捉えています。マーケット拡大のための戦略や海外での3Dマウスの現状などを日本のユーザー、協業パートナー、リセラーに説明しにきました。

ITmedia 3Dマウスについて詳しく教えてください

マイク 3Dマウスは、もともとはハイエンドのビジネスユーザーがCADを用いて製造や建築、デザイン、意匠設計などの仕事で使っていた製品です。設計やデザインの効率化と疲労軽減がユーザーのメリットです。

 ニッチな分野がスタート地点となりますが、その後、エンタープライズから中小・中堅企業(SMB)に広がり、今では「Google Earth」や「Google SketchUp」などで一般のネットユーザーでも使われるようになりました。

 3Dアプリケーションは多分野に広がっているので、3Dマウスの使い勝手の良さを向上するのが大きな課題です。Windowsの標準マウスやキーボードだと、3Dソフトウェアによって操作方法が異なってきます。3Dマウスを使えば同じような動作で同じような3D操作が可能になります。そのためにソフトウェアベンダーなどと協力し、インタフェースの仕様作りなどに注力しています。

 マルチプラットフォームへのサポートも取り組んでいます。もともとUNIXのハイエンドのCADからスタートしていますが、その後Windows、Linuxへ広げてきました。デザイン分野ではMac OSへの対応が重要になっており、1年半ほど前からこちらにもサポートを拡充しています。最新版は「Leopard」にも対応しています。

ハイエンド向けの「SpacePilot」 ハイエンド向けの「SpacePilot」

ITmedia どのような製品ラインアップがあるのですか?

マイク 顧客の規模や用途によって選択できます。エンタープライズ向けは「SpacePilot」「SpaceExplorer」です。SMB向けは、基本機能に特化し価格を抑えた「SpaceNavigator」ですね。CADや意匠設計、グラフィックスのソフトウェアにも対応しています。Google Earthなどで使用する時には、個人や教育機関向けのマウスである「SpaceNavigator PE」を用意しています。

 主に企業ユーザーが業務に使うものと、ホームユーザーがネットの3D操作で使うものの2つがあります。今後の新しい顧客として、教育分野に力を入れていく予定です。既に高等学校から3Dアプリケーションの教育が始まっていますし、専門学校や美術大学など3Dツールを高度に使いこなす学校では専門的なアプリケーション操作も行われています。Windowsの標準のマウスやキーボードで操作するよりも、3Dマウスを一緒に使った方が習熟も早いし、作業効率や疲労軽減などでメリットがあります。学生の段階から使うことで、仕事に就いた時も即戦力になると考えています。

ITmedia 販売台数はどのくらいですか?

マイク 2008年度の販売目標は、全世界で24〜25万台、日本で1万5000台を見込んでいます。製品のラインアップ、ソフトウェアのサポート、顧客マーケット、セグメントが広がったため、限られた業務のビジネスユーザーから一般の家庭まで幅広く使ってもらえるようになりました。

 世界の2.7倍に対し、日本は約4倍のスピードで成長しています。日本は、製造業の製品設計、デザイン、アニメやゲームなどCGコンテンツの製作で世界的にも大きなシェアを持つので、3Dマウスの利用はますます進んでいます。

ITmedia 幅広い分野に手を広げていますが、今後特に注力したいマーケットは?

マイク 現在、売り上げ比率ではB2B分野が8〜9割で、残りがコンシューマーと教育分野です。販売数量はB2Bが70%程度の比率です。エンタープライズ分野は、われわれのビジネスの基盤なので、引き続き主力マーケットとしてフォーカスしていきます。逆に今後3Dマウスの普及の鍵を握るのはコンシューマー分野だと捉えています。いずれにせよ、どんなユーザーでも便利に購入できる環境を整備していきたいと思います。

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