IntelはOS/アプリケーションのストリーミング方式を支持しているが、同社の調査によると、どの一元的コンピューティングモデルもビジネス分野を支配することはないようだ。
コンピューティングの将来に関する限り、Intelは特定のモデルに賭けてはいないようだ。
近く公表されるIntel社内の調査報告書、および700人余りのITマネジャーを対象としたオンライン調査によると、この数年間に登場したさまざまな代替コンピューティングモデルのどれも当分、企業コンピューティング分野を支配することはないようだ。
Intelの調査では、ターミナルサービス、VDI(仮想デスクトップインフラ)、PCブレード、OSストリーミングおよびアプリケーションストリーミングという5つのモデルが検討された。調査の結果、これらのモデルはすべて、セキュリティの改善や一元的管理といったメリットをIT部門に提供するが、各モデルには短所があるため、どれも近い将来に従来のデスクトップとノートPCをリプレースすることはないとしている。
サーバとPC用のx86プロセッサの世界最大のサプライヤーであるIntelは、これらの代替方式の中ではOSとアプリケーションのストリーミングモデルを支持しているが、同社で新興モデルプログラムを担当するマネジャーのマイケル・フェロンジョーンズ氏は、米eWEEKの取材で次のように語っている。
「これらのモデルの類似性に注目すれば、どれが抜け出て勝者になるかに関しては、将来はまだ不透明だとうのが調査の結論だ。現時点でこれらのモデルをニッチな業務で採用する企業もあれば、2年後にもう少し大規模なニッチ業務で採用する企業もあるだろう。しかし、これらのモデルによって大量のPCが一斉にリプレースされることはないだろう」。
OS/アプリケーションのストリーミングモデルは、OSまたはアプリケーション(あるいはその両方)をデータセンター内に一元的に保存した上で、これらをPCに配信し、データはPC上でローカルに実行されるという方式だ。Intelがこのモデルを支持するのは、膨大な数のコンピュータ管理を一元化するための漸進的な方法であり、従業員の混乱が最小限で済むからだという。
「デスクトップの仮想化は実に大きな移行であり、全面的なパラダイムシフトだ」とフェロンジョーンズ氏は話す。「ユーザーの視点から見れば、アプリケーションストリーミングは完全に透過的なものであり得る。アプリケーションはユーザーのPCのハードディスク上にはなく、サーバから配信されるわけだが、ユーザーは従来と同じようにアプリケーションのアイコンをクリックすればいいのだ。アプリケーションは一元的に管理され、集中的にセキュリティ対策が施されるが、従来と同じようにユーザーのマシン上で実行される」。
ストリーミングモデルは、できるだけ多くのプロセッサの販売を目指すIntelのコアビジネスにもプラスになる。Technology Business Researchによると、Intelは2007年10〜12月期に約8700万個のマイクロプロセッサを出荷した。このうち、約4600万個がデスクトップ用のプロセッサである。OS/アプリケーションストリーミングモデルは、Intelが今後もデスクトップとサーバ用のプロセッサの大量販売を続けることを意味する。
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