Intel、総額400億ドルの4市場を新たなターゲットへInvestor Day

米Intelは今後数カ月、消費者家電、低コストPC、モバイルインターネットデバイス、組み込みシステムの分野へ注力していくという。そのキーとなるであろう、Silverthorneについても語った。

» 2008年03月07日 14時48分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 カリフォルニア州サンタクララ発――今後数カ月間に渡り、米Intelは新たなマイクロプロセッサとプラットフォームの組み合わせを活用し、それぞれ100億ドル規模に相当すると見る4つの市場に注力するという。

 3月5日に現地で開幕した同社の年次カンファレンス「Investor Day」において、Intelの最高経営責任者(CEO)であるポール・オッテリーニ氏は、総額400億ドルに上る4種の市場に向け、まったく新しい製品群をリリースすると語った。

 同社がこれからの数カ月間に注力対象とするのは、低コストPC、モバイルインターネットデバイス(MID)、消費者家電、エンベデッドシステムの4市場。Intelによれば、これらの市場はそれぞれが100億ドルの規模を持つというが、同社の幹部は、Intelが年収の何%をここから得ようと想定しているかは、具体的に明かしていない。

 これら4つの市場に対する取り組みの軸になるのが、Intelが間もなくリリースする「Silverthorne」プロセッサだ。同プロセッサは、「Intel Architecture」をベースとし、45ナノメートルプロセスで製造されている。高いパフォーマンスを誇りながら、消費電力は従来より低くなるデザインだという。

 オッテリーニ氏はカンファレンスに参加したアナリストらに、IntelがコアビジネスであるPC事業とともにこれら4つの市場へ注力することで、「よりリッチなWebエクスペリエンス」や、どこからでもインターネットにアクセスできる移動性および機動性に対する消費者からの需要の高まりを、チャンスとして生かしていけるようになると説明した。

 「10億人がインターネットにアクセスしていると認識するだけでは不十分だ。20億人時代がやって来ると考えておかねばならない。PCを数多く売るばかりでなく、新しいデバイスの投入や価格の引き下げを通して、彼らをインターネットへ呼び寄せるのだ」(オッテリーニ氏)

 こうした市場で成功するためのカギは、OEM企業や独立系ソフトウェアベンダー(ISV)が、プラットフォームに大幅な変更を加えることなく、同市場向けのハードウェアおよびソフトウェアを開発するのに利用できる共通したプロセッサアーキテクチャを提供し、ベンダーによるさまざまな新製品の発表を加速させることにある。

 Intelは今週に入り、MID向けのSilverthorneと、Silverthorneから派生した低コストPC向けの「Diamondville」のブランド名を、そのサイズの小ささにちなんで「Atom」とする旨を明らかにした。オッテリーニ氏は、2008年代2四半期までには、両プロセッサを搭載したデバイスが市場に出回るだろうと予測している。

 MID製品は、小さな形状の機器で、極めてリッチなインターネット体験を実現できるよう作られたものだ。一方、Intelが「ネットブック」や「ネットトップ」と呼ぶ低コストPCは、200〜300ドルで購入できるよう、インターネットアクセス機能以外のソフトウェアは必要最低限に抑えたマシンを指している。

 消費者家電分野では、Silverthorneコアをベースにした「Canmore」と呼ばれるプロセッサがある。こちらは、テレビのセットトップボックスなどのデバイスに使われる。

 携帯電話からカメラ、ストレージデバイス、さらにはガソリンポンプまで、さまざまな製品を含有するエンベデッド市場にも、IntelはSilverthorneコアを利用したプロセッサを提供すると、オッテリーニ氏は述べた。同氏によれば、こうした多種多様の製品は、今日ではきわめて安価にインターネットに接続することができ、Intelはエンベデッド分野を将来性のある大規模なマーケットとして認識しているという。

 新たなエンベデッドプラットフォームを搭載した最初の製品は、2008年代3四半期までにリリースされる見込みだ。これまでIntelは、従来から提供していた古いプロセッサモデルをエンベデッド市場用に改良してきたが、今回は、最先端のプロセッサをすぐにポートフォリオへ追加する道を選んだ。

 「旧型のシリコンチップを使い回すのではなく、各分野に適した新たなチップをデザインしている」(オッテリーニ氏)

 従来のエンタープライズ事業については、Intelの45ナノメートルプロセス製品ラインを引き続き拡充していくと、同社の幹部は話している。同社は現在、この種のプロセッサを400万個出荷しており、年末の時点では、合計で72種の異なるモデルが市場に流通することになるという。

 またIntelは、「Dunnington」というコードネームを持つ、マルチソケットシステムに対応した6コアプロセッサを、2008年後半に発売する予定でいる。

 オッテリーニ氏は、今年後半に新たなマイクロアーキテクチャ「Nehalem」をリリースする計画が、スケジュール通り進んでいることも発表した。この新たなアーキテクチャは、各々が2つの命令スレッドを実行する、1〜8個のプロセッサコアをサポートし、統合メモリコントローラを備えている。こうしたプロセッサは、Intelが高パフォーマンスコンピューティング市場で優位な立場を確保するのを助けると考えられている。また、同一のシリコンチップ上にCPUとGPU(Graphics Processor Unit)を配置することも、不可能ではなくなるだろう。

関連キーワード

Intel | Silverthorne | 45nmプロセス | 組み込み


Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ