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冷却効果や運用上の問題が目立つようになってきたデータセンターのケーブル問題。
最近では、そういった問題を解決するのに役立つ手法が、主に配線設備メーカーから提案されるようになってきた。
いくつかの代表的な手法と、その効果のほどを紹介していこう。
ケーブル問題は、増え続けるケーブルに対して床下配線という考え方が適合しなくなってきたと考えることができる。そこで考えられるのは、新たな配線スペースを確保することで、床下配線の問題を回避しようとする対策だ。
ラックの上には、天井まで空間があるが、多くのデータセンターでは、その空間を活用できていない。せいぜい、ラックの耐震用のつっかい棒を立てている程度ではないだろうか。
配線設備メーカーは、その大きな空間に目をつけている。床下でなくラック上にケーブルを通せば、床下の混乱を軽減できるはずだ、というのである。
そのために、上部配線用のケーブルハウジングが開発されている。ラックの上に支柱を立てたり、天井から吊り下げるなどして利用する。いわば配線専用のダクトパイプといったところだ。
当然のことながら、ハウジングを購入・設置するのにコストが必要だが、一方でケーブル管理の負担は大きく軽減される。上部配線はケーブルを管理しやすい。配線の確認や変更などの際は床を剥がすまでもなく、脚立を用意すれば簡単にできるのだから。ラック内の機材が頻繁に入れ替わるような場合でも、さほど大掛かりな工事をせずに済むため、工数削減にも役立つだろう。
もちろん、大量のケーブルが抜けた床下のスペースは広々として、冷却効果の復活も期待できる。
一方、ケーブルを管理する上では、責任範囲が入り混じってしまうという問題もある。これに関しては、パッチパネルを活用して、管理すべき範囲を切り分けることが重要だ。
パッチパネルを使えば、ラック間の直接配線をせずにすむ。そして、パッチパネルを境界として、見た目でも明らかに責任範囲を切り分けられる。論理的な責任範囲の区分と、一目で分かる物理的な配線の区分とが一致するというわけだ。トラブルが起きたとしても迅速に切り分けられるようになるだろう。
また、ラック内の機材を入れ替える際にも、パッチパネルまでの配線を繋ぎ替えるだけで済むという点も大きなメリットだ。ラックの外に作業が影響しないということは、データセンターでの運用にも有効である。
さらに併せて、センター内で使うケーブルの長さを規格化しておくとよいだろう。配線作業の手間が軽減され、また交換用ケーブルのストックも圧縮できる。配線トラブルの処置なども、やはり迅速に行えるようになるはずだ。
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