MS、Dynamicsシリーズの新製品およびサービスを発表(1/2 ページ)

Microsoftは「Convergence」カンファレンスで、次期版「AX」のスニークプレビューを行うとともに、EDSとの提携拡大および「ソフトウェア+サービス」戦略への取り組みを発表した。

» 2008年03月13日 17時47分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftの年次「Convergence」カンファレンスでは、同社のビジネスアプリケーションシリーズ「Dynamics」が中心的なテーマとなってきた。

 フロリダ州オーランドで開催された今年のカンファレンスも例外ではない。しかし今年はMicrosoftのフォーカスがややシフトし、「ソフトウェア+サービス」にスポットライトが当てられている。ソフトウェア+サービスというのは、オンデマンド型ソフトウェアを表すMicrosoftの用語であり、同社ではこの手法を通じてDynamicsスタックに同社の技術の各種要素を織り込む考えだ。

 Microsoftは3月12日、Microsoft Dynamicsスタック全体にわたる「People-Readyイノベーション」を発表した。同スタックには、ERP(Enterprise Resource Planning)スイートの「AX」「NAV」「SL」「GL」、そしてCRM(カスタマーリレーションシップ管理)製品が含まれる。このイノベーションで計画されている新製品の1つが、AX 2009の次期バージョン(コードネームは「AX 5.0」)である。

 AX 5.0では、ロール別に用意された30種類以上のインタフェース、新しいコンプライアンスセンター、柔軟なビジネスプロセスを可能にする統合型ワークフローフレームワークなどの新機能が搭載される。

 同社はさらに、EDSとの提携強化も発表した。これはEDSがDynamics CRMをEDSエンタープライズアプリケーションとして提供するというもの。両社は個別業種向けのカスタマーリレーションシップ管理アプリケーションの開発でも協力する。またMicrosoftは、自社の「GP」スイート用の新しいツールセットも発表した。これは企業ユーザーがQuickBooksからGPに移行するのを支援するツールだ。

 しかし今回のショウの真の主役は、Dynamics CRM/ERPアプリケーションをオンラインソリューションとしてWebに拡張し、ユーザーに選択肢を提供する新しいオンラインサービス群である。

 この取り組みでは多数のオンラインサービスが計画されており、その第1弾としてペイメントサービス、マーケットプレイスサービス、キーワードマーケティングサービスという3つのサービスが提供される。ペイメントサービスは、PayPalやChase Payment Solutionsが提供する不正防止技術に相当するもので、インターネット上でクレジットカードを使用する企業向け。マーケットプレイスサービスは、eBayとの連携を実現する技術で、企業が自社のWebストアおよびオフラインチャネルに加えて、eBay上でも製品を販売することを可能にする。キーワードマーケティングサービスは、検索エンジンマーケティング用のキャンペーン追跡/管理サービスである。

 Microsoftによると、同社のDynamics用サービスの中心となるテーマは「選択のパワーを拡張する」ことだという。これは、広範なオンプレミス(自社運用)型およびオンデマンド型製品に対してサービスの選択肢を段階的に追加/削減する機能を提供するというもの。2月に開催されたGoldman Sachsの「2008 Technology Symposium」のインタビューでMicrosoftのクレイグ・マンディー最高研究戦略責任者が語ったところによると、同社幹部がオンライン広告/検索技術によって支えられた新興のSaaS(Software as a Service)市場への進出について検討した結果、2年前に達した結論は「何もかも提供する」というアプローチだという。すなわち、Microsoftが携わっているほとんどすべてのビジネスにサービスコンポーネントを追加するということである。

 「この取り組みによって将来的に実現されるのは、どれだけのコンピューティングをローカルで実行し、どれだけをクラウドの中で実行するのかを、スイッチをオン/オフするように決める機能だ。その比率はどちらの方向にも0〜100%の範囲で変えることができる。この機能は、個々の業務ごとに順次実装される見込みだ」とマンディー氏は説明した。

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