MS、Dynamicsシリーズの新製品およびサービスを発表(2/2 ページ)

» 2008年03月13日 17時47分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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 ソフトウェア+サービスというブランドをめぐっては、表現が曖昧で分かりにくいメッセージだという批判もあるが、Microsoftはオンデマンドコンピューティングの分野で着実に前進している。同社は2005年、「Microsoft Live」(Office LiveおよびWindows Live)構想を発表した。昨年12月には、オンデマンドとオンプレミスの両方で利用できる同社初のマルチテナント対応ソフトウェアとなる「CRM 4.0」をリリース。

 さらにMicrosoftは今月、マルチテナントサーバ型SaaSプラットフォームのβ版を発表した。このプラットフォームは当初、電子メールとチームウェア(SharePoint)サービス用として提供される。Gartner Groupは2月29日付の調査メモの中で、同プラットフォームはいずれ、Officeなどほかのアプリケーション用に拡張される見込みだと述べている。

 このプラットフォームは10〜12月期にリリースされる予定で、配備規模が5000シート以下の企業をターゲットとする(Microsoftは既に、5000シート以上の企業向けのSaaSプラットフォームを提供している)。

 CRM 4.0では、DynamicsシリーズのオンデマンドSaaS方式の選択肢を求める声に応えた。この製品は、オンプレミス、パートナーによるホスティングあるいはMicrosoftによるホスティングというインプリメンテーションで利用可能だ(Microsoftホスティングバージョンの「CRM Live」は、この春に一般リリースが予定されている)。CRMのコードベースがマルチテナント対応であるため、企業ユーザーはオンプレミス方式とオンデマンド方式の間で切り替えることができる。

 しかしMicrosoftのSaaSプラットフォーム構想が、Dynamicsを柱とする同社のソフトウェア+サービス構想とどこで融合するのか不明であり、3日間にわたる今年のConvergenceカンファレンスにおけるMicrosoftの話題もこの点に集中するようだ。今回のカンファレンスには約1万社のパートナーおよび顧客の参加が見込まれている。もう1つの問題は、Dynamicsパートナー各社がMicrosoftのソフトウェア+サービス戦略からどのように収益を得るかということであり、この問題もConvergenceで取り上げられるものと思われる。

 Gartnerは調査メモの中で、Microsoftの前には「相当なチャレンジ」が待ち受けているが、同社は順調に前進しており、SaaS市場全体でかなりのシェアを確保するだろうと述べている。

 「同社は業界で最大規模の一般向けポータルサイトを運営しているが、企業向けに大規模なSaaSサービスを提供するには、可用性、セキュリティ、マルチテナントアーキテクチャ、ネットワークトポロジー、問題解決などの分野で高度なノウハウが要求される。加えて、Microsoftは既存のソフトウェアをマルチテナントサーバモデルに改造しようとしている。同社のコア製品がマルチテナント型SaaSモデル上で動作するのに適したアーキテクチャになるのは、Exchangeの次期バージョン(2011年に登場予定)まで待たなければならない」とGartnerのマシュー・ケイン氏はメモに記している。

 それでもGartnerによれば、電子メール/チームウェア市場、特にSMB(中堅・中小企業)の間でMicrosoftが大きなシェアを持っていることに加え、SaaSビジネスモデルの普及が拡大していることを考え併せれば、Microsoftには大きなチャンスがあるという。

 「2012年までに、企業の電子メールシートの20%がSaaSプロビジョニングモデルを利用するものと予想される。2007年の時点ではまだ1%にすぎない」(ケイン氏)

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