ITセレブは最終目標なのか? SEすごろくの真意制作者に聞く(2/3 ページ)

» 2008年03月15日 00時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]

普通のすごろくではないリアルなマス目

 「新人研修で、初めてのプログラミング。“Hello World”と表示されてエンジニアの楽しさを覚える」「本番環境に戸惑いデプロイ失敗」――SEなら必ず通る通過儀礼のような出来事がすごろくのマス目を埋めている。デプロイという言葉は普通の人には分からないと考えたが、SE側の意見は「当たり前の用語なので残して欲しい」。専門的な言葉もあえて残した。

 マス目の句を主に考えたのは永江氏で、SEの具体的なキャリアやイベントなどをイメージできるように作った。何日も家に帰れない、仕事がきつい……SEの職場にはこのような現実もある。しかしネガティブな要素は極力省いた。「学生がSEって良い職業だと感じてモチベーションが上がるようなものを作りたかった」から。キャリアプランの作成にも役立てて欲しいという。

image 永江公クリエイティブディレクター

 普通のすごろくは早く上がった人が勝ちになるが、SEすごろくはそうではない。例えば昇級試験のマス。判定用のさいころを振って、合格の目が出なければ、そのレベルに戻ってやり直さなければならない。マス目には1回休みがやたらと多い。

 「SEは資格やレベルが必要で、これらを得るには時間がかかる。すごろくにもそれを取り入れ、次のレベルに上がれずあえて“はまる”ように作った」(永江氏)。1回休みは「経験値を上げたり勉強をするのに期間は必要。成長のためのステップと考えている」(同氏)。

 人間関係を描いたマス目も多く存在する。「時には現場でけんかをしたり、上司とぶつかったりすることもある。それを通じて築かれる人間関係がSEには必要」(永江氏)。SEに必要とされるコミュニケーション能力も欠かさず取り入れた。

image コミカルなキャラクターなどを取り入れたすごろくは見ているだけで楽しい。「親しみやすさを出すために、1つ1つを作り込んだ」と永江氏

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