「ニュースキャスターや記者のドラマはあるが、SEのものはない。キムタクが月9でプロマネをやってくれれば認知度も上がる」と野中氏は笑う。ただIT業界やSEという職種につきまとうイメージは依然としてマイナスであることが多い。
「SEの仕事は社会に貢献している仕事であることを伝えたい。SEにはたくさんの職種があり、それらが1つのシステムを作っている。SEがいなくなったら世の中は何も動かなくなる。社会的意義がある仕事であるという認識を広めたい。SEの仕事を理解してもらうことが業界や職種の地位向上につながる」(野中氏)
SEという職種のゴールは何だろう。社長や部長といった肩書きや独立などがゴールとなる一般的なビジネスマンとは違い、SEは出世して役職に就けば終わりというわけではない。
「スペシャリストを目指す人も多く、管理職に就くことがゴールにならない。価値観が違う人間のモチベーションをどのように束ねていくか、業界が抱える人材問題でもある。ゴールの設定には本当に頭を悩ませた」(野中氏)
その中で設定したすごろくのゴールは「ITセレブ」。ただこれに対するこだわりはあまりない。
ITSSのレベル7を取得できる人は限られた数しかいない。業界ではこれを持つと発言力が増すというレベル。「SEとしてのスキルアップの頂点をここに置いた」(永江氏)。その後は各人に応じた多様な生き方が出てくる。それ以降の部分、すなわちこのすごろくにおけるゴールは、「レベル7以上はどうなるかという想像も込めて、少しお遊び的な感覚を取り入れて作った」という。
ITを通じて世の中は便利になった。その恩恵を受けることができるのは、それを支えてくれるエンジニアがいるからだ。「システムインテグレーターという立場であるからこそ、SEの存在意義を世の中に対して主張していきたい」と野中氏は言う。こういったアプローチの積み重ねが、IT業界を変えていくのかもしれない。
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