円急騰、影響を日本のIT各社に聞くソニーは1円で年60億円の影響

 円高が急速に進行している。3月17日には1ドル95円台に突入し、12年7カ月ぶりの円高水準になった。先週末の終値に比べても4円以上の上昇だ。日本のIT企業はどのようにとらえているのか。

» 2008年03月17日 14時18分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 円高が急速に進行している。3月17日には1ドル95円台に突入し、12年7カ月ぶりの円高水準になった。先週末の終値に比べても4円以上の上昇だ。サブプライム問題に端を発する米国の金融不安が飛び火する格好となり、日経平均株価もこの日1万2000円を割った。円高は基本的に、海外に製品を輸出する企業の収益を圧迫する。この円高を日本のIT企業はどのようにとらえているのか。各社のコメントを集めた。

 ソニーは「今日の動きについて特にコメントすることはないが、為替予約が済んでいるため今期の業績へのインパクトはなく、当期純利益への影響も軽微だ。来期以降の業績見通しはまだ出していない。1つ言えることは、円相場の1円の変動がソニーの業績に与える影響は年間で60億円であること」とした。

 NECは「輸出入額が均衡しているため、基本的には通期の決算に影響しない。為替が不安定になってきた80年代後半から90年代初頭、輸出入を均衡させて為替リスクをヘッジする体制にするよう心がけてきた。ただし、これは連結での話だ。単体で見ると、半導体事業を手掛け、輸出が多いNECエレクトロニクスなどには影響が及ぶ可能性がある」と話した。

 富士通は「損益に大きな影響はない。輸出と輸入の比率が均衡するようにビジネスの構造を変えてきたからだ。サービス提供も現地化しているものが多く、輸出が少ない。為替のリスクがあまりない。今回の円高に対して現状特に対策を打つことは考えていない」という。

 松下電器産業は「当社は、為替に左右されない経営体質に向けた取り組みを一貫して推進してきた。円高により、日本からの輸出は厳しくなると思われるが、一方で、輸入はメリットがある。当社としていっそうのコストダウンを進めて行きたい。1-3月の為替予約は既に予約済み、4-6月もほぼ終わっているため、直ちに業績に影響が出ることはない」とした。

 日本IBMは「グローバル展開しており、決算も連結だ。(輸入が多い場合に)日本法人としてプラスの影響が出るかというと、いろいろな顧客がいるためなんともいえない。製造拠点も世界各地に散らばっている」としている。

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