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» 2008年03月25日 08時00分 公開

NGNは情報通信革命のジャンヌダルクではない「次世代」は幻想か(2/4 ページ)

[エリック 松永,ITmedia]

NGNの本当の姿

NGNを星に例えると

 図を見ればイメージしやすいと思うが、実際にNTTのプレスリリースでは上位アプリケーションサービスに当たる部分が提供されていないため、広義のNGNを期待していると一見何がNGNなのかが分からない。

 ちなみにITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)が定義しているNGNは上位アプリケーション基盤までで、これも微妙に同じNGNという言葉で違う領域を指してしまっている。

 実はNGNの本当の姿は、NGNを星に例えるとマグマの部分といえる。NGNを語る時、ユーザー視点に立ち、サービスイメージをつかむためにも広義のNGNまでを議論すべきではある。しかし、今回はNGNの本質を知り、今後の発展を考えるための基本的な議論をすることを目的とし、真の姿としてマグマの部分に注目してNGNを理解していきたい。

NTTはなぜNGNに投資するのか

 NGNを考えるとき、まず疑問となるのは、これといったキラーサービスが登場していないのに、なぜNTTが莫大な投資をしてまでNGNを実現しなければならないのかということだ。

 「NGNは電話の歴史を変える130年来の大変革」

 130年とは何か? まずはこの点に着目し、その革命の全体像をつかむことでなぜNTTが莫大な投資をしてまでNGNにこだわるのかという謎をひも解きたい。

 通信キャリアの原点となるAT&Tの前身であるベル電話会社が設立されたのが1877年。以後、通信キャリアは音声通信(電話)を中心に発展してきた。電話加入者の激増に追いつくために莫大な投資を音声中心の通信機器に投じてきた。しかし、携帯電話の登場で移動体通信の加入者が激増する一方で、音声通信の加入者は下降線をたどり続けている。

 このような状況下で、過去の遺物である音声通信を支える通信機器は老朽化し、高額な保守、維持費用や古い機器を扱える技術者の確保ができないという災難に見舞われた。これは世界中の通信キャリア(特に古くからの会社)の共通した問題だ。日進月歩のICT(情報通信技術)業界の中で、例えばNTTで使われている音声通信の基幹を支える通信機器はなんと1982年から継ぎはぎをしながら使われ続けている。

 この状況を見れば、誰でも「この古い音声通信機器をなんとかしなくては」と思うだろう。ここで神風となって現れたのが、インターネットの登場で一気にスタンダードに上り詰めた汎用的なIP技術だ。

 もともと音声系の通信機器は国内メーカーの共同開発であり、特別にカスタマイズされた製品であった。一方、競争の激しい海外で育ったIP系の通信機器は高機能かつ低価格、さらには汎用的な技術であるために技術者が豊富ときている。音声通信の基幹部分をIP化すれば独立していたデータネットワークとも基幹部分を共同利用でき、効率もいい。将来的には無線通信の基幹部分と統合すればさらに効率は良くなる。

 つまり「このままでは経営を圧迫しかねない古い音声通信機器を一掃して、IP技術を駆使したピカピカの新品に換えてしまいましょう」、それがNGNの実態なのだ。

 130年来の大改革とは、世界初の電話会社ベルが音声通信を開始した1877年から脈々と続いてきた音声を中心としたネットワークが、IPという技術を活用した新しいネットワークに移行するという変化を意味している。

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