データ分析するなら現場と最後まで付き合えBI特集(1/3 ページ)

株式会社武蔵野代表取締役社長の小山昇氏は、「BIは業績向上を目標にしたアクションプランを策定する環境づくりの一歩」という。

» 2008年04月02日 07時00分 公開
[ITmedia]

BIで分析したつもりになるな

 武蔵野は環境クリーニングサービスなどの事業を展開する企業だ。同社はエクセルのピボット分析をはじめ、10年以上前から現場レベルで進めてきた。

 同社では、定期的に小山氏の前で各部門の責任者が営業成績などの分析結果をプレゼンテーションを行い、一般社員向けには半年に1回、大規模なプレゼンテーション大会を開催する。

「分析したらそれで何かをした気になってはならない」と語る、武蔵野 小山社長

 このプレゼンテーション大会では「商品を切り替えたら粗利益はどう推移するか」といったテーマが議論され、経営層と現場社員が一体になって、データ活用によってアクションプランの策定に取り組んでいる。

 小山氏はBIについて次のように語る。

 「データを分析して業績につながる先行指標を見極め、継続的にモニタリングすることが大切です。そこで異常値が見つかれば、すぐに具体的なアクションを起こして対応すればいい。BIは、こうした一連の対応ができる環境を整えるための最初の一歩です」

 同社のデータ活用の成果の1つとして、事業の柱でもある、主に中小企業に経営指導を行う経営サポート事業での活動があるという。事業立ち上げから3年間では、リピート率は約50%だったが、4年目はリピート率が70%に跳ね上がった。この原因をデータ分析したところ、直接顧客のもとに出向いて経営指導を行うサービスを始めたことが大きな要因になっていることが、データによる裏付けからはっきりしたという。

 同社では、悪い結果も良い結果も、データによって因果関係を明確にして、次のアクションに結び付けていくという。確かに、良い結果が出ると、その理由をあいまいにしたり、数字によって裏付けた分析をしないで、恣意的に因果関係を結論づけたりすることが多い。それでは、せっかくいいヒントが隠されていても、本質を見抜くことはできない。

 「データを集めて分析するところまではITの助けがあると便利です。しかし、BIで分析しただけで何かを変えた気分になることが多いので注意が必要です。結局はアクションを起こさずに終わってしまうことが多いのです。データ活用はアクションが伴ってはじめて意味があることを忘れないでください」と小山氏は話す。

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