データ分析するなら現場と最後まで付き合えBI特集(3/3 ページ)

» 2008年04月02日 07時00分 公開
[ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

経営のプロが語るデータ活用の極意

 小山社長は経営のプロ。社長業の傍ら全国各地を経営指南の講演で回っている。経営者から絶大な人気を博している理由の1つは、「実例に基づいたデータ活用」を指南しているところだろう。天才的な能力を持っている経営者のノウハウや経験談ではないのである。

 そして小山氏はそのデータ活用のノウハウを組織内に浸透、定着させる方法論にも言及する。まさにBIの現場活用の実践を指南しているのである。小山氏によれば、データ活用を経営企画部門だけが行うのは愚の骨頂である、ということらしい。一部の人間がデータをいじくりまわしてもしょうがないというわけだ。なぜならデータ活用の目的は最適な次のアクションを引き出すことにあるからだ。

 「強い企業は末端の社員まで、まるで経営者のような口をきく」。小山氏の話を聞いているとそんな言葉を思い出した。強い企業の社員は態度が尊大、という意味ではない。経営、つまり数字に通じていて、それをもとに顧客に話をするというのである。そういうことができるには、常に生きている数字を把握していなければならない。末端の社員は詳しい数字を知らなくても、それを知っている上司が末端の社員にも詳細な数字を交えて、次のアクションについて話をしているということである。

 いまはBIツールを活用して、より簡単にデータを引き出し、分析することができる。「末端の社員はなかなか日常業務が忙しくてデータの分析ができない」という意見について、小山氏は一笑に付すだろう。「データをもとにしないアクションを続ける社員が毎日何をしていると考えるのか」と。

 データと一口にいっても、小山氏の言うとおり、売上高のデータの中身がどうなっているか分からなければうまい活用は難しい。どんなデータがアクションプランに結びつくのか、それは、時間をかけて多くの社内スタッフが分析に取り組まなければ、なかなか答えは導けないのかもしれない。

 武蔵野の社内のいたるところには、さまざまな印刷物や手作りの大きなグラフが貼られていた。IT活用も活発だが、確かに情報の周知徹底にはアナログとデジタルのアウトプットをうまく使い分けていると感じられた。これもすべて新たなアクションを生み出す布石なのだろう。

プロフィール

1948年、山梨県生まれ。小山氏が率いる株式会社武蔵野は00年日本経営品質賞受賞、05年「IT経営百選」最優秀賞を受賞。ITコーディネータ協会からITコーディネータ・グランドファザーに任命されるなど、IT活用には積極的。『社長! 儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!』(すばる舎)、『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』(ダイヤモンド社)など、著書は多数。


関連キーワード

BI | 経営 | 会計 | 管理会計 | 財務会計


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ