それでは、この中から「AI2 アプリケーションソフトウェアの調達と保守」プロセスを例に挙げて、その中身を説明する。これらのプロセスはいずれも重要だが、アプリケーションの調達と保守というのは読者の皆さんにもいくらかなじみがあるのではないだろうか。なおこれ以降、「AI2 アプリケーションソフトウェアの調達と保守」は「AI2」と省略して表記する。
まずは前回同様、3つの図である(図1)。アプリケーションの調達や保守は、有効性や効率性に主に影響を与え、インテグリティや信頼性に副次的な影響をもたらす。もちろんそれ以外の内容と無関係ではないものの、強いて強い関連を強調するとこうなるだろう。
次に、コントロール目標をウォーターフロー型で示す。
A:アプリケーションソフトウェアの調達と保守のコントロール目標は、適切な時期に適正な費用で、ビジネス要件に沿った形でのアプリケーションの利用を可能にすることを、ビジネス要件とし、
B:重点をおくべきコントロールは、タイムリーかつ費用効率に優れた開発プロセスを確立することである。
C:実現するための手段は、次の3項目である。
D:その成果の測定指標は、次の2項目である。
ここで注目したいのは、「タイムリーかつ費用効率に優れた開発プロセスを確立する」ために必要な手段の中に「開発、テスト、および運用に関する活動の分離」が挙がっている点である。開発プロセス、テストプロセス、そして運用のプロセスを完全に分離して活動することが結果的にアプリケーション調達・保守にとってはよいのだ、ということだ。そしてこれはさらに解釈を拡大して、要員をも分離すべきだ、とも読み取れる。アプリケーションの開発要員、テスト要員、そして運用要員はそれぞれ別の人間が行うべきだ。もちろんそれだけの要員を確保できないという問題もあるだろう。しかし筆者の経験から少なくとも、開発・運用要員とテスト要員は分けるべきである。開発者の目とは異なる視点でテストをしないと、結果的に運用・保守の段階でコストが増大する結果となるのは、火を見るより明らかである。
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