新生・キヤノンITソリューションズはどう戦う?Interview(2/2 ページ)

» 2008年05月15日 08時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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ITmedia アルゴ21との合併にはどんな狙いがあるのでしょうか。

武井 両社は、製造以外にも、金融と組み込み分野に強いという点で比較的よく似たシステムインテグレーターです。しかし、中身をよく見ると、アルゴ21は金融の中でも証券に強く、組み込みも携帯電話やカーナビが強いなど、同じ業種の中でも得意分野が異なります。相互にそのノウハウを生かせる補完的な合併といえるでしょう。

 特に自動車はIT化が進んでおり、開発費に占めるソフトウェア開発の比率が高まっています。これをチャンスと捉え、日本の有力自動車メーカーと緊密な関係を築き、中枢部分の開発を支援したいと考えています。

車載システムはチャンス、グローバル展開も視野

ITmedia 合併によって3500人体制になりました。規模の拡大も狙いですか。

武井 今の日本のSI市場を見ていると、ますますゼネコン化しているように感じます。人月幾らのビジネスが、すぐになくなるわけではありませんが、それだけでは会社は持ちません。いずれ、インドや中国に仕事を奪われてしまうでしょう。業務知識の豊富な人材を育てるのはもちろん、横展開できるパッケージやコア部品で生産性を高め、コスト競争に打ち勝ちたいと考えています。

 一方、われわれはキヤノングループの一員です。冒頭にも少し触れましたが、日本のSI市場は飽和状態にあります。これは複合機のようなオフィス機器も同じです。リプレースはあっても新規契約の獲得は難しい状態です。

 今後、キヤノングループ全体で事業がさらにグローバル化するのは自然な流れです。しかも、複合機のようなハードウェア単体ではなく、ソフトウェアを組み合わせたドキュメントソリューションで付加価値を高める必要もあります。既に競合他社はソリューションを売っています。それには負けられません。われわれも近い将来、日本発のソリューションを世界市場に展開していくことになると思います。

ITmedia とはいえ、日本のSI市場が主戦場であることに変わりはないと思います。売り上げ1兆円のNTTデータを筆頭に、3000億円規模の野村総合研究所や伊藤忠テクノソリューションズ、ITホールディングスなどがひしめいています。

武井 ITサービス業界でのブランドはまだまだですが、われわれは顧客の立場でシステムを企画する姿勢が評価され、信頼を勝ち取っています。製造業では大手システムインテグレーターとことごとくバッティングしていますが、メーカー系のシステムインテグレーターのようにはハードウェアの値引きができないために少し割高になってしまっても、採用いただけるようになりました。中堅企業となると、「ハードウェアもソフトウェアも一体で安くやってくれ」と求められ、たいへんです。しかし、われわれは安易な値引きをするわけにはいきません。やはり大切なのは信頼です。

 顧客からの信頼を大切にし、業界第2位グループの一角を占めるようになるのが、われわれの目標です。

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