新生・キヤノンITソリューションズはどう戦う?Interview(1/2 ページ)

総勢3500人からなるシステムインテグレーターが新たに誕生した。ユーザー系のシステムインテグレーターとして、顧客視点を忘れず、車載システム分野の強化やグローバル展開も視野に入れ、大手の仲間入りを狙う。

» 2008年05月15日 08時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 住友金属工業の情報システム子会社をルーツとするキヤノンシステムソリューションズと、日本ユニバック(現日本ユニシス)の有志が設立したアルゴ21がこの4月に合併し、約3500人体制のシステムインテグレーター、「キヤノンITソリューションズ」が生まれた。日本のSI市場は、NTTデータを筆頭に大手プレーヤーがひしめいているが、同社はユーザー系システムインテグレーターとして「顧客視点」を大切にするほか、成長が見込まれる車載システムへの注力や、ドキュメントソリューションのグローバル展開を視野に入れている。顧客の立場でシステムを企画する姿勢と、それによって得られる「信頼」を大切にしたいと話す武井尭社長に話を聞いた。

武井尭 1971年住友金属工業入社、2000年に前身の住友金属システムソリューションズの事業統括部長、2007年にはキヤノンシステムソリューションズの社長に就任

ITmedia この4月、「キヤノンITソリューションズ」が誕生しました。新たな船出ですが、乗り出す市場をどのように見ていますか。

武井 日本のSI市場は、調査会社の予測でも年率3%程度の成長しか見込めない飽和状態にあります。歴史的にもこれまで国産コンピュータメーカーが大きな力を持ち、いびつな状態にありましたし、成果物に対価をきちんと支払うという習慣もなかなか根付きませんでした。1990年代のバブル崩壊で価格も下落し、それが今も尾を引いています。

ITmedia やや健全性を欠いていると感じる日本のSI市場でどのように戦いますか?

武井 キヤノンシステムソリューションズは、住友金属工業の情報システム子会社として1982年に生まれた住金システム開発をルーツとしています。わたし自身も20年間、住友金属工業の情報システム部門で働き、さらにシステムの外販事業を展開するIBMとのジョイントベンチャー設立に参画した経験があります。

 コンピュータメーカーとは違う、またコンサルティング会社とも違う、製造業のユーザー系システムインテグレーターとしての視点がわれわれにはありますし、アルゴ21も独立系システムインテグレーターとして、ユニークな視点を持っていました。

業務を支援するシステムはどうあるべきか

ITmedia ユーザー系SIの視点とは、例えば、どんなものでしょうか。

武井 われわれは、ユーザーとして製造業の現場業務を支援する仕事を積み重ねてきました。「業務を支援するシステムはどうあるべきか?」という、開発に直結するシステム企画の仕事を得意としてきました。これはコンサルティングとも違います。

 2003年からキヤノンシステムソリューションズとなりましたが、引き続き、製造業向けを中心とした基幹ソリューションに力を注いできましたし、キヤノンの複合機(imageRUNNER)と組み合わせたドキュメントソリューションを差別化ポイントとすべく取り組んできました。

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