一方で、SaaSのセキュリティ、データの外部保存などに対するユーザー企業の心理的不安を解消するには多くの成功事例が公表されなければならない。双方の事情を踏まえてSaaS普及には、やはり最低でも5年程のスパンの余裕をみなければならない。
SaaSのロードマップでいくと、5年後の2012年ごろにXaaSとしてサービス市場の大きな存在になるものと予想される。
運用・保守業務に負担を感じる企業が非常に多いことは既に定量的な結果が出ている。そういった管理負荷を軽減するために、今後はシステムを外部に委託することが主流になる。その仕組みに「SaaS」を利用することが増えるだろう。基幹業務そのものを外部に委託することになれば、それはBPOになる。
つまりSaaSはBPOと組み合わせることで、ユーザー企業が運用・保守業務に煩わされずにコアビジネスへ経営資源を集中させることも可能になる。またSaaSとともにBPOを受け持ったベンダーは顧客のその業務全般をエンクローズすることになる。
SMBのITシステムは「販売店やベンダーへの依存傾向が高い」ため、SaaS+BPOによって構築されるベンダーとユーザーのさらに「一歩踏み込んだ」関係を築くことにもなる。むしろ新たなビジネスチャンスが生まれることになる。
「手軽に導入できるSAP」を中堅企業に届ける
「SAPはハードルが高い」というイメージが払拭されつつある。長期的な費用を考慮すると、SAPは実は安価と考え、SAP Business All-in-Oneを導入する中堅企業が増えている。SAPが提供する実現機能確認シートに注目だ。一覧をチェックすれば購入前に費用の詳細が分かる。機能追加の際の費用も「見える化」できる。
なぜSAP ERPを導入するのか――女性衣料品通販ピーチ・ジョンの場合
ピーチ・ジョンは、女性向け下着などのカタログ通販で人気を集める。ピーチ・ジョンが、2009年の稼働を目指してSAP ERP導入プロジェクトに取り組んでいる。ネット販売店舗が急拡大し、継ぎ足すように対応してきたシステムをSAPでどう変えていくのか。2007年11月のワコールの完全子会社化に伴い内部統制強化も課題となっている。
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