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» 2008年05月27日 00時00分 公開

New Generation Chronicle:クジラ飛行机――「なでしこ」に込められた鷹の勇気と蛇の知恵 (5/6)

[西尾泰三,ITmedia]

「おじさんの話の後ろにある真理」を求めて

―― プログラマーはモテないと思いますか?

これはここだけの秘密にしたいのですが、やり方によってはかなりモテます!!

「日常会話で使うとけげんな顔をされるプログラミング用語は?」の質問に、「たくさんありすぎて、これというものが思いつきません。家族もIT用語に毒されてしまっているようです」と笑う

 モテるためには、まず女性の使うソフトウェアを作るところからはじめます。そしてユーザーが増えてきたらオフ会を開きます。作曲ソフトウェアやお絵かきソフトウェアなどのユーザーは、女性が多い気がします。普段から自分が使っているソフトウェアの作者と会えるとなれば、きっとワクワクしてオフ会に来るはずです。これなら口べたのプログラマーでも大丈夫です。開発したソフトウェアの話が2人の共通の話題になるでしょう。そして恋がはじまります(たぶん)。

―― 女性プログラマーってどうですか?

これからは、女性プログラマーの時代かもしれません。でも、現実ではあまり会ったことがありませんね。

―― よいプログラマーの条件を3つ挙げてください。

忍者の秘伝帖には実際の技が書いてあるわけではなく精神論が書いてあるそうなのですね。以下の3点をプログラマーの秘伝帖に書き記して後代に伝えたいです。

  • プログラミングが好きだ
  • 人には負けない得意分野がある
  • 知らないことは知らないといえる

―― 悪い/使えないプログラマーの条件を3つ挙げてください。

  • いやいや仕事をする
  • 知ったかぶりをする
  • だらだら仕事をするので労働時間がとにかく長い、または眠らない

 3点目、耳が痛いです。

―― ロボット3原則をまねてプログラマー3原則を考えてみてください。

プログラマーは……

  • 納期を守らなければならない
  • 常に新しい知識を身につけなければならない
  • しかし十分な睡眠を取らなくてはならない

―― 思いついたアイデアを実行に移す秘訣は何でしょうか?

日々忙しいと理由をつけ、「明日は、明日こそは」とか「時間ができたなら」とか考えていると、その「明日」が人生最後となるその日まで始めることはないでしょう。忙しくても作り始めることが必要です。いつかできることは、すべて今日でもできるものです。人生の価値は時間の長さではなく、その使い方で決まります。1日に1つくらいは自分の力にあまることをやろうと思わない限り、どんな人間でも大した成功は期待できません。

―― 頭の中のぼんやりとしたイメージはどうすればコードに落とし込めるのでしょうか?

イメージをはっきりさせるには、紙にペンで書いてみることが近道です。階段を上がったり下りたり、体を動かしてみるとヒントが得られることもあります。わたしだけかもしれませんが、コーディングに詰まったとき、トイレに行くとなぜか問題が解決することが多いです。

―― 結局のところ、ハッカーとは何なのでしょう。ハッカーの必要条件を挙げてみてください

「好きこそものの上手なり」ということわざの通りで、プログラミング(とプログラミング言語)が好きだということだと思います。そして、わたしにとってプログラミングとは、目的を実現するための手段であり、空気と同じくらい身近にあるものです。

―― プログラマーの35歳定年説をどう思いますか?

どの職業についたとしても、日々勉強して時代に合った知識を身につけていく必要があります。プログラマーは基礎知識さえ抑えていれば、35歳で定年しなければならないほど難しい職業ではないでしょう。よくよく考えてみても、自分がしていることの大半は、既にある部品を組み合わせるだけだったり、以前やったやり方にバリエーションを持たせることだったりします。知的単純労働といわれることもありますので、35歳定年説は、35歳くらいでプログラミングに興味をなくしてしまう人が多いから、また、多くの方が既に発言されていますが、日本では35歳になると管理職やマネジャーになってしまうからという理由からだと思います

―― ソフトウェアエンジニアリングは現在、どこまで極みに達したとお考えですか?

先人たちの血のにじむような努力の上に現在のソフトウェアエンジニアリングが築かれていますが、ソフトウェアのバグやオペレーターの操作ミスによって、誰かに大損害が発生しています。まだまだこれから多くの失敗を通じて成熟していくのではないでしょうか。これが成熟した暁には、医者や弁護士のように、国家資格を得ないとプログラマーになれないなんて時代がくるのかもしれませんね。

―― 中国の大学への留学経験をお持ちですが、国際性という観点から日本のソフトウェア業界をどのようにみていますか?

 環境が整ってきたのでソフトウェアの国際化が非常にやりやすくなりましたが、言語の問題だけではなく文化の問題や、継続サポートまで考えるとなかなか難しいのが現状でしょうか。しかし、海外に出れば単純に市場が広がります。難しいことは考えず、とにかく外へ出てみなくてはと考えています。確かさばかり求めてぐずぐずしている人に大きなことはできないのではないでしょうか。

 あと、海外に出ることで、日本の文化のすばらしさを再確認できました。それまでは、海外の文化を知らなかったので、日本の文化のよさが比較できなかったんです。このことはわたしの人格形成に大きな影響を与えていると思います。

―― プログラミングの未来についてどう考えていますか?

ぜんぜん関係ない話ですが、昔、知り合いのおじさんにプログラマーになることを話したら、「近いうちに、プログラミングなんかしなくても、すべてのことが自動でできるようになるから、プログラマーなんか要らなくなる。そのうちに仕事がなくなるよ」といわれました。そのおじさんがどんな思いでそう言ったのかがよく分からなかったのですが、あらためて考えてみても、すべてのことを自動で行うようにするためには、プログラミングが必要ですよね。おじさんの話の後ろにある真理が分かったら教えてください。

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