Javaの達人や.NET開発の名手になるのは重要なことだとカーベン氏は言う。しかし、システムの複雑化が進む今日、企業は単にこれらの言語を学んだだけの人材ではなく、財務から小売り、メディアといった特定の垂直市場とかかわりを持ち、知識の豊富な社員を求めるようになっている。
「成長著しいある大企業のCIO(最高情報責任者)が、ITアーキテクトであるうえに、小売り市場をよく知っている技術者がほしいと話していたことがある。会社でe-コマースソリューションを開発するなら、例えば製品の出荷地である中国で流通がどう始まるのかなど、サプライチェーンについての知識がなければ、効率的なコーディングはできない。こういった声は、日増しに強くなりつつある」(カーベン氏)
IT就職掲示板大手のDiceによると、特に「VMware」をはじめとした仮想化技術の知識を求める募集案件が、過去6カ月間で40%も増加しているという。
「仮想化したサーバは、少ないリソースで高速に、かつ環境に配慮した運用が可能になるため、大幅なコスト削減に加えてデータセンターのグリーン化も促進できるということに、多くの企業が気づき始めた。効率を向上させるスキルを習得する意欲があり、実際の戦力となるプログラマーは、こうした職種では引っ張りだこになるだろう」と、Diceのマーケティングおよび顧客サポート担当上級副社長のトム・シルバー氏は話している。
ランザロット氏は、ビジネスの経験こそが、ITプロフェッショナルの増収を実現してくれるという。
「テクノロジーのみを専門とする役割から脱却し、企業の経営層に加わって実績を積もう。技術系と経営陣の間には壁があり、決して交わらないというケースも多いが、ビジネスサイドに参加する必要が絶対にある。すぐれたCIOは単なる技術屋ではなく、壁の両側で働いてきたビジネスマンであることを覚えておこう」(ランザロット氏)
今では時世も大きく変わり、CIOは「MySQL」やそのほかのオープンソース技術を導入して失業を免れるようになっていると、カーベン氏は指摘した。実際に企業の経営層も、コストを削減する手段として、オープンソースを積極的に支持している。
「オープンソース開発者の慢性的な不足が続いている。コミュニティーベースプロジェクトを立ち上げ、自社の製品にソーシャルネットワーキングを組み込もうとしている企業が、新メディアブームに沸くニューヨークを中心に全米で40社は存在する。古くからある技術のほか、オープンソースをも自分のものにしてキャリアの刷新を図った人には、明るい未来が待っているだろう」(カーベン氏)
大手銀行や金融機関で働く人間なら分かっていると思うが、多額の金を動かせるようになればなるほど、組織内での立場は強くなる。これはITプロフェッショナルでも同じだ。会社の利益につながる、あるいはコスト削減を実現するプロジェクトに深く関与していれば、企業からは重用されるのである。
「顧客との関係を強化して、黒字の出るプロジェクトにより多く参加すること。そうしたプロジェクトを実施するうえで重要な役割を担った経験のある社員には、企業も昇給を提示してくるだろう」(ランザロット氏)
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.