発注者の考える「脱・丸投げ」マニュアル闘うマネジャー(3/3 ページ)

» 2008年05月28日 11時06分 公開
[島村秀世,ITmedia]
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満足する画面デザインは他人を巻き込む

 ところで、画面デザインと間取図は大差ないように思えるのだがどうだろうか。どちらも絵に過ぎないし、「センスは要求しない。ラフスケッチ程度でいいから」とすれば、画面デザインくらい、給与をもらっている仕事なんだからできるに違いない。

 さらに、ひと工夫加えたい。ラフスケッチができたら、Webデザイナーのようなプロに頼んで、本格的な画面デザインにしてはどうだろう。プロの目が入ると画面が格段に洗練されるだけでなく、使い勝手をよくするための工夫が随所に盛り込まれる。デザインが返って来たら、自分なりに、思い通りの画面か確認し、デザイナーに修正してもらうとよい。ボタンをタブに変えたり、位置や色合いを変える程度では追加請求はほとんど発生しないはずだ。デザイナーもプロだから、客が提示したラフスケッチから大きく逸脱しない限り、満足するまで付き合ってくれるはずだ。

 自分自身が画面デザインに満足したら、先輩や業務部門と相談するとよい。すでに無意味となっている機能や改善すべき機能を指摘してくれたり、知らなかった機能が必要であったり、もっと仕事を楽にするための提案などさまざまな意見が寄せられるはずだ。以前なら「君に任せたんだから」と相談を避けられたかもしれないが、洗練された画面デザインを見せられると、仕事の流れが頭に浮かんでくるのであろう、極めて的確な指摘をしてくることが多い。考えれば当たり前の話である。ラフスケッチでは、相談された側が、あれこれ想像しないとシステムの流れがわからず、質問の意図が理解できないが、デザインのプロの手が入り、洗練された画面を順番に見ていけば、そこは業務のプロ、今の手順と比較し、楽になるのか頭の中で天秤にかけ、あれこれと意見を出し始めるのである。

 冒頭に書いた「システム開発に移る前に、発注者側で画面デザインを徹底的に詰めるべきだ」だが、できそうな気はしないだろうか。やればできそうな感触はないだろうか。なにより、発注者側で最終的な画面デザインを詰めてくれれば、SEは「楽になった」と大喜びするはずだ。楽になれば、開発コストが下がるに決まっている。悪くない話だと思うがどうだろう。

プロフィール

しまむら・ひでよ 1963年3月生まれ。長崎県総務部理事(情報政策担当)。大手建設会社、民間シンクタンクSE職を経て2001年より現職。県CIOとして「県庁IT調達コストの低減」「地元SI企業の活性化」「県職員のITスキル向上」を知事から命じられ、日々奮闘中。オープンソースを活用した電子決裁システムなどを開発。これを無償公開し、他県からの引き合いも増えている。「やって見せて、納得させる」をマネジメントの基本と考える。


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