日本オラクル「第2巻」の意味Weekly Memo(1/2 ページ)

日本オラクルの新経営体制が6月からスタート。新社長は記者会見などで、同社の「第2巻」の始まりを強調した。企業が新たなステージを迎えたときに考えるべきことは何か。同社の話を通じて探ってみたい。

» 2008年06月09日 08時29分 公開
[松岡功ITmedia]

「価値拡大」への挑戦

 「今日から日本オラクルの新たな成長に向けた“第2巻”が始まった」

 6月1日付けで日本オラクルの社長執行役員兼CEOに就任した遠藤隆雄氏は、同2日に開いた記者会見で開口一番、こう語った。

日本オラクルが6月2日に行った記者会見で、所信を語る新社長の遠藤隆雄氏(右)と新会長の新宅正明氏

 そして「第2巻」の意味について、「第1巻では、事業基盤を作り上げて日本の社会に根付くことができた。とくにデータベースでは多くのお客様に当社の価値を提供してきたが、第2巻ではそれに加えてSOAプラットフォームとビジネスアプリケーションにも注力し、当社の価値を一層拡大していきたい」と説明した。

 遠藤氏がそうした思いに至った詳しい説明については、すでに報道されているので関連記事を参照いただくとして、これまでの創業18年間を「第1巻」として括ったところが興味深かった。

 日本オラクルを創業時から知る筆者にとっては、これまで8年間、社長を務めて今回会長に就任した新宅正明氏もさることながら、初代社長を10年間務めた佐野力氏の存在も強烈な印象がある。だが「第2巻」は、遠藤氏が言うように同社の「価値拡大」への挑戦であって、社長の歴代とリンクしているわけではない。

 記者会見では、新会長に就いた新宅氏がそのあたりのニュアンスも含めながら、遠藤氏とは違った表現で「第2巻」の意味をこう説明した。

 「これまで18年間の日本オラクルの歴史は、第1巻として5月末で終わった気持ちでいる。当社はデータベース事業を中心に成長し、ここ数年は米オラクルの買収・合併戦略に基づいて広がった製品分野を含めて、エンタープライズ事業戦略のシナリオメイクを行ってきた。しかし、これまでのような1つひとつ積み上げていく手法では限界が来ると感じていた。次のさらなる成長のためには、総合的な観点から当社の価値を最大限活かせる、まさしく当社の第2巻としてのグランドデザインが必要だ。そうしたグランドデザインを描くためには、ソフト・サービス事業分野での豊富な経験や実績、能力、見識、リーダーシップを発揮できる人材が不可欠だと判断し、遠藤さんがその最適任者との確信をもって当社に来ていただいた」

 そのグランドデザインのベースとなる事業領域は、先述の遠藤氏の発言にある通り、データベースに加えてSOAプラットフォームとビジネスアプリケーションがキーになる。

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