「エコに対する意識は高まってきたが、企業ITにおいてCO2の排出比率が大きいのはどこか? その内訳を把握している企業は多くない。実は約40%のCO2がPCやモニタといったIT機器から排出されている」と話すビジネス・クライアント・マーケティング部長 廣田洋一氏。40%という数字はデータセンター(23%)より高いものとなる。「われわれの目の前にあるPCのエコ化こそが、もっとも効果が高いはず」(廣田氏)
廣田氏は、vProテクノロジーが消費電力の低減に有効だと話す。同技術の進化により、2007年に出荷されたCore2プロセッサとそのチップセットは、前年製品に比べアイドル時の消費電力で60%の改善、チップセットのTDP(最大消費電力)およびアイドル時の消費電力はどちらも55%の改善が見られたという(インテル調べ。公開済み仕様)。
またCeleronDやPentium4といった過去のプロセッサと、vProを実装したCore2プロセッサの電力性能比を比較すると、アイドル時、処理(エクセルとウイルスバスターをマクロで実行)時ともに消費電力の削減が顕著だという。当然プロセッサ性能自体も向上しているため、電力性能比はさらに高まる。「古いPCを利用し続けることがエコだ、と勘違いする向きもあるが、実際には最新のPCに移行したほうが環境に優しいという考え方ができる」(廣田氏)
機種 | アイドル時消費電力 | マクロ実行時の消費電力 | マクロ処理時間 | マクロ実行時の積算(Wh) |
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CeleronD搭載システム | 56W | 73W | 117秒 | 2.41Wh |
HT対応Pentium4搭載システム | 54W | 88W | 68秒 | 1.56Wh |
vPro対応Core2搭載システム | 37W | 69W | 27秒 | 0.65Wh |
先日の発表以来、UMPCなどモバイル製品のプラットフォームとして注目を集めるAtomプロセッサだが、組み込み市場からも注目を集めている。これまでの組み込み機器向けプロセッサには、パフォーマンス不足や、リッチコンテンツやネットワークへの対応、そしてセキュリティ強化など、組み込み機器に求められる要件の複雑化による開発期間の長期化といった課題があったという。「低消費電力で高い性能を提供でき、C言語との親和性が高く開発工数そのものも低いAtomプロセッサは、組み込み市場における課題を解決するものだ」(エンベデット製品 マーケティング・マネージャー 金哲也氏)
応用事例としてはリテール分野におけるPOSやATM、またレーザープリンタやファクトリーオートメーション機器への搭載など多岐におよぶ。カーナビを始めとする車載エンタテインメント市場へも力を入れるという。「低消費電力であるためにファンレスで構成でき、省スペース、密閉筐体での実装という要求を満たせるAtomで組み込みマーケットを拡大する」(金氏)
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