インテル、新プロセッサ「Atom」シリーズ発表

インテルは情報端末向けの新プロセッサ「Atom」を発表。インターネット端末から業務用端末までの幅広い用途に活用できるという。

» 2008年04月02日 17時57分 公開
[ITmedia]

 インテルは4月2日、情報端末向け省電力プロセッサの新製品「Atom」シリーズを国内向けに発表した。同プロセッサ搭載のデバイス製品が今夏から順次登場する。

 Atomシリーズは、45ナノメートルプロセスで製造され、25平方ミリ未満というサイズ内に約4700万個のトランジスタを実装する同社最小のプロセッサ製品。平均消費電力は160〜220ミリワット、アイドル時は80〜100ミリワットと同社製品の中でも最小クラスになり、動作周波数はFSB533MHzモデルの「Z540」の場合で1.86GHzになる。

「300ミリウェハーから約2500個のAtomが取り出せる」と話す吉田氏(左)。PC各社が開発中のAtom搭載製品

 吉田和正共同社長は、「コンセプトは“Full Internet Experience In Your Pocket”。モバイル環境でインターネットをフルに利用できる新市場を開拓する」と説明した。

 Atomシリーズは、「MID(Mobile Internet Device)」と呼ばれる携帯情報端末向けの「Intel Centrino Atom(プロセッサとチップセットなど)」と、組み込み機器が主な用途の「Intel Atom(プロセッサ)」の2種類のラインで展開される。MIDはネットワークサービスの利用に適した端末で、吉田氏は「衣服のポケットに収まるサイズ、インターネットをフルに利用できるAtom搭載機器」がMIDの条件だと紹介した。

 同社は、携帯用PCとして「UMPC(Ultra Mobile PC)」をこれまで推進してきた。技術部長の土岐英秋氏は「UMPCはPCとしての機能を追求し、例えばMicrosoftのPowerPointなどパワーが要求されるアプリケーションをモバイル環境で快適に動かすことが目的になる。MIDは、同じモバイル環境でもネットワークサービスに適応するためのもので、対象市場は異なる」と述べた。

Atomでは省電力・高性能化、モビリティを追究。従来のIntel CPUでは1%性能が向上すると3%消費電力が増加したが、Atomでは消費電力の増加を1%に抑制したという
現在開発中の製品の約85%が「3G+無線LAN」か「WiMAX+無線LAN」に対応する

 AtomプロセッサおよびAtom用のシステムコントローラは、第3世代携帯電話やWiMAX、次世代PHSなどの高速モバイルデータ通信技術を組み合わせての利用に適している。Atomのシステムコントローラは、1080i/720pのHD映像の再生やOpenGLなどの高精細グラフィックをサポート。無線ネットワークを介し、リッチコンテンツを利用するのに最適な性能を実現した。

今年秋以降に発売予定の松下電器「TOUGHBOOK」。PDAやスマートフォンを業務利用する企業ユーザーを狙うという(左)。NECは店舗などの受付や案内端末としての展開を計画する。「HDプロモーション映像などマーケインティング用途にも期待する」と担当者は話す

 Atom搭載製品はMIDのほか、Intel Atom搭載の車載用情報端末や業務用端末なども展開される見込み。国内ではNECや富士通、クラリオン、松下電器、シャープなどの主要PCメーカー、組み込み機器開発ベンダーが対応を表明した。また、通信事業者ではNTTドコモとウィルコム、UQコミュニケーションズがAtom搭載機器の普及を支援すると表明した。

 インテルでは、4月10日からMIDの利用モデルやアプリケーションのアイデアをインターネットで募集するキャンペーンを実施する。優れたMIDの利用シーン案や、Atomの性能を引き出すWindowsおよびMoblin環境対応のアプリケーション提供者には、MID製品や開発ツールが贈呈されるという。

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