「ドラクエ5」のプロモサイトが動く「黒子」技術アカマイが紹介

動画やFlashなどのリッチコンテンツを利用したWebサイトがスムーズに表示される背景には、コンテンツの高速配信技術があるという。

» 2008年07月10日 17時47分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本のゲームソフト上位4社がCDN(Contents Delivery Network)技術を導入――コンテンツ/アプリケーション配信サービスの米Akamaiは7月10日、スクウェア・エニックスおよびコナミが同社サービスの使用を開始したと発表。任天堂とバンダイナムコホールディングスを含め、ゲームソフトの大手各社がWebプロモーションなどに活用している。

 先進国を中心としたブロードバンド回線の普及を受けて、近年はインターネットの動画配信サービスやグラフィカルなデザインやコンテンツを採用するWebサイトが増えつつある。だが、利用者が増えれば増えるほど提供者側のサーバや回線へ負荷が高まる。結果として、「映像がコマ切れになる」「再生に時間がかかる」といったユーザーの不満が生まれ、提供者側に設備増強などの負担が求められることになる。CDN技術はこうした課題を解決する手段として、ニーズが高まっているという。

スクウェア・エニックスの利用シーン

 AkamaiのCDNサービスでは、まずWebサイト開設者のサーバとアカマイが設置しているエッジサーバをつなぎ、コンテンツの一部はエッジサーバにキャッシュする。アカマイは世界70カ国650都市にエッジサーバを3万4000台設置する。エッジサーバ間はアカマイの独自ネットワークが構築されており、ユーザーがWebサイト開設者のサーバにアクセスを要求すると、ユーザーの最寄りにあるアカマイのエッジサーバを経由してつながる。コンテンツは、アカマイのネットワーク内で複数の経路に分割されて、ユーザーのPCに転送される。

 この仕組みにより、データサイズの大きなリッチコンテンツであっても、一般のインターネット回線を利用するよりも速やかにコンテンツを表示できるようになるという。

ラザール氏

 販売担当副社長、グレッグ・ラザール氏によれば過去10年間で2600社以上の企業が同社顧客となり、コンテンツプロバイダや放送局、メディア企業などエンタテインメント業界を中心に採用されてきた。Appleが提供する音楽配信サービス「iTunes」やiPhone用アプリケーション配信サービス「App Store」では、コンテンツデータがAkamaiのネットワークを経由してユーザーの手元に届く。

 スクウェア・エニックスでは、企業情報サイトと新作ゲームのプロモーションサイトのコンテンツ配信にAkamaiのネットワークを使用する。同社では海外売り上げの拡大を目標としているが、リッチコンテンツを多用したプロモーションサイト用サーバを世界中に構築するのが困難であるため、Akamaiを採用したという。

 日本担当副社長の小俣修一氏は、「ゲームは日本の基幹産業の1つでもあり、こうした産業の振興にわれわれの技術が生かされている」と話す。

主要なユーザー企業

 近年はエンタテインメントコンテンツだけでなく、企業間でインターネットを介してやり取りされるアプリケーションでの利用も急増している。グローバル企業などは、各国の社員がインターネットを経由して本社のデータセンターにアクセスするシーンが珍しくない。だが、何千人ものユーザーが同時にアクセスしても、データを快適に利用できる背景にはCDN技術の活用がある。特にERPやCRM(顧客管理)システムでの利用が拡大しているという。

 ラザール氏は、「産業界ごとにビジネスの慣習やノウハウ、技術に長けた担当人員を配置しており、各社の事情に合わせたコンテンツ配信の仕方をコンサルティングしている」と話す。同社は今年度だけで500〜700社の新規利用を見込んでいる。

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