中堅中小企業の経営基盤改革術

報酬制度で競争力を高める人事戦略コンサルタントの提言(5/7 ページ)

» 2008年07月17日 13時00分 公開
[吉岡利之, 池谷和之,ベリングポイント]

<ケース2>創業30年の老舗観光ホテルB社

  • 客室稼働率は年々悪化し前年急落。構造的な業界不況のど真ん中にあり、倒産不安
  • 従業員の職務・サービス・内容は画一的で旧態依然
  • 事業不況にもかかわらず、従業員の当事者意識や適切な危機感が失われた風土
  • 経営者は、従業員の意識、スキルレベルの改革なしには、事業再建のめどは立たないと認識している

変動報酬で社内変革者を勇気付ける給与支払いを行う

 過去の成功体験に甘んじ、迫り来る内外からの変革要請に対して、「分かっているけど、変われない」従業員は少なくない。B社はその典型であり、「休まず・遅れず・働かず」文化に覆われた、旧態依然とした従業員が大半を占めていた。そこで、経営者は過去の成功体験となる職務慣習・サービスに異を唱え、新たなビジネスモデル・サービスに頭を捻り、実践する従業員(=社内変革者)を絶対的に評価し、給与・賞与で直接的に報いる方針を打ち出した。経営陣内でも賛否両論はあったものの、社内変革の最後の手段として社長自らが英断し、創業以来初となる「成果に応じた変動報酬」を採ったのであった。変動報酬が一つの劇薬となったB社は、経営者と従業員一体となった変革活動(=ホスピタリティ創造運動)が高まり、一時期の業績低迷から脱することに成功した。

 過去の接客・サービスを破壊し、新たなホスピタリティを創造する事業・組織へ

  • 従業員に求める働き方:短期的な成果(=ホスピタリティ)の創出
  • 従業員が動機付けられる要素:従業員の成果の幅に応じた報酬金額

ペイポリシー:成果達成に対する即時支給

 設計方針:変動報酬(歩合・成果給・業績賞与)中心の報酬

【図6】 固定報酬・変動報酬割合イメージ

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