<ケース1>2005年創業のITベンチャーA社
あえて固定的な要素の強い年功・職能重視の給与制度を打ち出す
一般的に事業変化の激しい業界ほど、報酬設計も金額変化に富んだ変動型(歩合給・成果給)中心であるべきという固定観念が根強い。従来、A社においても、優秀な人材を集める名目の下、短期成果に応じて給与を支払う報酬文化を敷いてきた。実際、従業員はよく働いてくれ、会社も一定レベルまで成長したが、従業員も会社も今以上に成長するために、ある種の行き詰まりを感じ始めていた。そこで、経営者は業界の常識とは逆転した発想となる、「固定型の年功・職能重視の給与制度」を打ち出した。
報酬自体を「未来の成長への投資」と位置付け、従業員に対して、長期間を通じた労働・技術習得を推奨し、働く安心感を植え付ける経営判断であった。A社は、ベンチャー企業の柔軟性と永続的事業発展組織の強靭さを備えた業界の新興勢力として、さらに成長の勢いを加速している。
長期間で技術を蓄積していく“熟練ITプロフェッショナル”が支える事業・組織を目指し、「従業員に求める働き方:長期安定的な労働と技術習得」「従業員が動機付けられる要素:安心感、長期的に成長できる環境」を実現する。
ペイポリシー:未来の成長への投資
設計方針:固定報酬(年齢や勤続年数に応じて安定的に昇給する給与)中心の報酬
固定報酬は長期間で技術・技能を蓄積していく働き方に報いるもの。変動報酬は技術習得を特に短期間で達成した、技術に革新をもたらした貢献人材に報いるものだ。固定報酬比率を高く設定することで、経験による技能の向上を評価し、一定の昇給を期待しながら安心感を持って働くことを企図する。
SAP改革をトップに説き伏せる方法
アメニティーズは長野県を中心に17店舗のパチンコ店を展開する。競合他社もあり楽観できない経営環境だった。遊技台はデジタル化が進む中で、個別の遊戯台に掛かるコストを低減し、利益を増やし、遊技台の「労働生産性」を高める工夫が必要だ。バラバラだった同社のITをSAPで最適化する取り組みを開始した。
至れり尽くせりのシステムを捨てた――TOMOEGAWAの勝算
TOMOEGAWAは日本における産業用特殊紙のパイオニア。最近では半導体関連製品など先端分野の材料も開発する。同社はSAP ERPにより、ビジネススピードを飛躍的に向上させたという。「至れり尽くせり」で「つぎはぎだらけ」だったシステムをどのように刷新したのか。
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