中堅中小企業の経営基盤改革術

報酬制度で競争力を高める人事戦略コンサルタントの提言(2/7 ページ)

» 2008年07月17日 13時00分 公開
[吉岡利之, 池谷和之,ベリングポイント]

ペイポリシーを明確にする

 報酬制度の設計は、最終的には各自の給与明細に行き着くため、議論がどうしても実務的、技術的なところに傾きがちとなるが、大切なことは、幹となる方針を最初に経営者が(もしくは担当者と経営者が)しっかりと示しておくことである。これを私たちはペイポリシーと呼んでいる。その策定は下記の順で進めていく。

【図3】 報酬制度設計のポイント
  • メッセージの明確化

 経営者から従業員へのコミュニケーション手段という観点から見ると、ほかのリワード要素と同じか、それ以上に金銭報酬は強いメッセージ性を持っている。どのような性格のものを、どのような基準で、どのように支払うか(従業員から見ると受け取るか)ということで、従業員の意識、行動は大きな影響を受ける。制度を設計する際、伝えるべきメッセージをまずは明確にすべきである。基本的には第1回に述べたあるべき考え方とあるべき行動、すなわちコア・バリューの実現であろう。言葉を変えると「事業の成長のために従業員にどのような働きを求めるのか」ということである。

  • 従業員グループごとの金銭報酬種別の配分や基準の決定

 次に、この働きを促すために従業員が何に動機付けられるのかを考え、どのような金銭報酬を、どのような基準で支払うのかを明確にする。金銭報酬の分類にはいろいろな考え方があるが、ここでは下図のように考えてみたい。

【図4】 金銭報酬の分類

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