HPが「POD Data Center」でモバイルデータセンター分野に進出(1/2 ページ)

HPの「Performance Optimized Data Center」(POD)は、Web 2.0アプリケーションやクラウドコンピューティング用の高密度コンピューティングインフラを構築する企業を支援するとともに、ディザスタリカバリやハイパフォーマンスコンピューティングのための追加キャパシティを提供することを狙った同社の新たな取り組みだ。

» 2008年07月18日 15時58分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 HPは7月16日、自社独自のモジュラー型データセンター「POD」(Performance Optimized Data Center)を披露した。このHP版モバイルデータセンターは、8X40フィート(約2.4X12メートル)のコンテナで、業界標準の19インチ(約48センチ)ラック列に最大3500基のコンピューティングノードあるいは1万2000台のホットプラグ対応・大型フォームファクターのHDDを収容することができる。

 HP PODは10月に発売される予定だが、同社はまだ価格を設定していない。

 HPはモバイルセンターに組み込むのに適したタイプのサーバ、ストレージ、スイッチを販売しているが、HPエンタープライズストレージ/サーバ部門でマーケティングを担当するポール・ミラー副社長によると、同社はHP PODの設計、製作、販売に当たっては従来と同様、他社のハードウェアに対しても寛容な姿勢で臨むという。

 HP PODは、Web 2.0アプリケーション/ビジネス、クラウドコンピューティング、ハイパフォーマンスコンピューティング、大規模サーバファーム用のITインフラなどをサポートするために構築される高密度データセンターのニーズに対応するHPの最新製品である。

 「HPはクラウドの拡張に大きな関心を抱いている」とミラー氏は話す。「Web 2.0ビジネスであれ、エンタープライズクラウドを作成したいと考えている従来型企業であれ、われわれは顧客企業がこういったクラウド技術を誰よりも迅速かつ安価に実現することを可能にする企業になることを目指している」

 HPを含む数社の大手ITベンダーは、そういったインフラを構築するためのハードウェア、ソフトウェア、サービスの組み合わせを提供しようとしている。HPはこの数週間で、クラウドコンピューティングインフラ向けにデザインした新しいブレードの販売を開始する一方で、米軍用のクラウドインフラの構築で米国防総省と契約を結んだ。

 HP、IBM、Sun Microsystemsに加え、Rackable Systemsなどの中小規模のプレーヤーがこぞってこの市場に参入したという事実は、既存のデータセンターにコンピューティングキャパシティを追加する、あるいは新規のインフラを構築する手段として、この斬新なアプローチの有効性を示しているようだ。

 しかしこの新スタイルのデータセンターが、実際の販売につながるかどうかは不明だ。

 Pund-IT Researchのアナリスト、チャールズ・キング氏は「この種のコンテナ方式の統合型データセンターに対する関心が高まっているようだ」と指摘する。「ただ、こういった製品を大量に販売したという話は聞いたことがない。極めて特殊な用途や環境に対して非常に有用性が高いフォームファクターとして関心が集まってはいるが、こういったシステムを毎日あるいは毎週のベースで生産する専用の製造ラインを持っている企業はないと思う」

 HPの技術/ソリューション部門でマーケティングとアライアンスを担当するデブ・ネルソン上級副社長によると、同社はこういった現実を受け入れているという。さらにネルソン氏は「POD技術はHPが大量に販売するようなものとは考えていない。企業が新たに5000平方フィート(約470平方メートル)のデータセンタースペースと機器が早急に必要になるというのは、頻繁にあることではないからだ」と付け加える。

 「これは量産ビジネスではない。しかし必要とする企業にとっては極めて重要な製品だ」とネルソン氏はeWEEKの取材で語っている。

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