メディアが変わる!? ―― Google版Wikipedia「Knol」の衝撃Weekly Memo(1/2 ページ)

今回は、米Googleが7月23日に一般公開したナレッジ共有サイト「Knol」に注目したい。Google版Wikipediaとも目されるこのサイト、さまざまな意味でインパクトがありそうだ。

» 2008年07月28日 07時03分 公開
[松岡功ITmedia]

こだわった執筆者の記名入り

 Googleが7月23日、昨年末から非公開の招待制でテストしてきたナレッジ共有サイト「Knol(ノル)」の一般公開を始めた。

 Knolは、特定の分野に精通する有識者が書いた解説記事を掲載し、その情報を読者であるユーザーと共有・拡充していくことを目的としたサイトである。

 Googleによると、Knolの目指す姿は、特定のトピックを検索する人が最初に読みたいと思ってアクセスするサイトだという。そのため、オンライン百科事典「Wikipedia」と同様、あらゆる分野およびトピックをカバーしていく計画だ。

Googleのナレッジ共有サイト「Knol」

 そうした意味から、Knolは“Google版Wikipedia”とも目されているが、大きな違いがいくつかある。まず、原則として誰でも自由に記事を執筆・編集できるWikipediaに対し、Knolは執筆者が記名入りで記事を公開し、編集責任やコンテンツ管理も担うことだ。

 したがってKnolでは、読者は記事に対して評価やコメントを投稿し、執筆者に意見を述べることはできるが、それを受け入れるかどうかの判断は執筆者に委ねられる。執筆者は必要と考える修正や追記を含めて、コンテンツ内容に責任を持つわけだ。

 ただ、記事の執筆自体は、記名入りを前提として誰でも自由にできるようだ。Googleはそうした編集面にはかかわらず、Knol用の編集ツールを提供し、コンテンツを無料でホスティングする役目に徹するとしている。

 GoogleはこのKnolにおいて、当初から執筆者の記名入りにこだわってきた。昨年末のテスト開始段階で、「Webは執筆者の名前を強調する決まりがないまま進化してきたが、執筆者がわかればコンテンツを利用するユーザーにとってもより活用しやすくなる」との見解を表明。さらに「Knolに、執筆者が名声をかけた意見や視点が載ることを期待している」ともコメントしている。

 したがって同じトピックについて異なる複数の記事が出現する可能性もあるが、「アイデアの競合は良いことだ」というのがGoogleの考えだ。

 KnolとWikipediaとの違いで、もう1つ捉えておかないといけないのは、Knolが広告媒体として利用できることである。具体的には、執筆者が自分のKnolページに「AdSense」の広告を掲載し、広告収入の一部を受け取ることができる。一部といってもGoogleに言わせると、それなりに大きな割合を執筆者にフィードバックするつもりのようだ。

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