「泣き言はやめて行動を開始しよう」――オープンソースのプリマドンナがアピールジェンダーギャップは幻想(1/2 ページ)

Intelのダニーズ・クーパー氏は、IT業界に身を置く女性、そしてオープンソースの支持者全般に対して、ハイテク業界の変革を目指して努力を続けなければならないと訴えた。

» 2008年07月30日 08時00分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 「自分の現状に不満を言うのではなく、現状を変えるために行動すべきだ」――これが、オレゴン州ポートランドで開催されたO'Reilly Open Source Convention(OSCON)において、Intelのオープンソース戦略担当シニアディレクター、ダニーズ・クーパー氏が行った基調講演の要点だ。

 クーパー氏によると、「Why Whinging Doesn't Work」(泣き言を言っても始まらない)と題されたこの講演の原稿は当初、女性向けに書かれたもので、最近開催された女性を対象としたカンファレンスで同じ内容の講演を行ったという。「この講演のアイデアは、Canonicalの創業者のマーク・シャトルワース氏から受け取った電子メールがきっかけで思い付いた」とクーパー氏は話す。そのメールには「女性従業員たちの愚痴にうんざりしている」と書かれていたという。

 クーパー氏によると、女性はIT業界で自分たちが置かれている状況に愚痴をこぼすのをやめ、現状を改革する主体として行動すべきだという。同氏は「Free/Libre/Open/Source Software: Policy Support」プロジェクトの調査を引き合いに出し、調査時点でオープンソース開発者に占める女性の割合が2%にすぎなかったと述べた。

 「あなたに娘がいるのであれば、プログラミングを教えなさい」とオープンソース界のプリマドンナとして知られるクーパー氏は語った。

 さらに同氏は「ギークガール(オタク女性)は、戦闘的フェミニストなのだろうか」と問い掛けた。

 「泣き言を言うのをやめ、行動を開始しよう」とクーパー氏は訴えた。「わたしが参加した幾つかのIT業界の女性グループでは、会議でこの問題を取り上げるといつも、女性の悲話を延々と聞かされるばかりで、何事も始まらない」と同氏は語る。

 同じような問題を抱えた人が一堂に会すれば、そういった流れになるのは避けられない。わたしは幾つもの黒人学生団体や「○○における黒人の状況」といった会合に参加したことがあるが、そういったイベントでは、大学や職場においてマイノリティでいることによる苦労話で大半の時間が費やされた。しかしクーパー氏が言うように、その段階でとどまるのではなく、行動を開始すべきなのである。

 わたしの両親は、わたしが泣き言を言ったり何かを人のせいにしたりするのを許さなかった。彼らはわたしの泣き言を聞く耳を持たなかった。わたし、あるいはわたしのきょうだいの誰かが問題を抱えていて、それが人種問題であると感じた場合、わたしたちはその問題を回避する方法を見つけなければならなかった。少なくとも、そのことで泣き言を言うのは許されなかった。

 クーパー氏はテニス界の偉人ビリー・ジーン・キング氏を引き合いに出し、プロテニスの世界で女性が男性と同じだけ稼ぐことができることを示したヒーローとして称えている。同氏によると、オープンソースの世界もそのような転換点を迎えているという。

 スピーチの冒頭は女性向けの内容だったが、OSCONでのクーパー氏の講演はオープンソース関係者全体を対象としたものであり、同氏はコミュニティーに対してさまざまな提言や助言を行った。

 「われわれは言葉遣いを改める必要がある」とクーパー氏は語り、同氏自身は非暴力運動の言葉を用いてきたと述べた。さらにクーパー氏は、感謝を表明すること、他人を認めること、自分が住みたいような世界を目指すこと、変化の担い手になること、といった提言を行った。

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