中堅中小企業の経営基盤改革術

ここで差がつく――人材管理におけるICT戦略人事戦略コンサルタントの提言(3/5 ページ)

» 2008年07月31日 12時57分 公開
[野石龍平(ベリングポイント),ITmedia]

フェイス・ツー・フェイスの触れ合い強化を同時に展開

 上記のような取り組みの効果をさらに挙げるには、フェイス・ツー・フェイスの触れ合い促進施策を同時に展開することがポイントとなる。遠方の担当者とのメールでのやり取りが、面識のない時と、一度会って食事をした後とでは、その中身が一段深いものになる。コミュニケーションが楽に、効率的になったという経験をお持ちの方も多いのではないだろうか。会って話すという基本的な行動はやはり重要なのである。

 神奈川県鎌倉市にてウェブサイトの制作を中心とする面白法人カヤックは、ICT活用と並行して職場環境の改善を行ない、触れ合いの場を設けるようにした。古都鎌倉の街にあるためか、「和」のイメージを重視したオフィスは、対面での触れ合いを重視している。広さ二十畳ほどの「畳のスペース」は社員が好きなように使えるフリースペースとなっている。また、掘りごたつ式のテーブルやちゃぶ台が置かれ、人が集まることで自然と打ち合わせ場所となる。「一日中パソコンに向かう職場だからこそ、社員全員の顔が見えるような開放的な空間を目指した」という。高い天井に白い壁、ガラスの仕切りと畳で構成されたオフィスは風通しが良く、食事時のおしゃべりからも新しいアイデアが出るようになったとのことである。

<図4 カヤックの個性的なオフィス(カヤックのHPより転載)>

 株式会社武蔵野はダスキン事業を中心とする社員数360名の会社である。この会社では部下4人以上の管理職には月25,000円の手当を支給しており、月1回の部下との飲食を義務付けている。「宴会の席順はくじ引きで決める」「お酌は禁止で全て手酌」「上司は長居しない」「誰と飲食したかを届け出る。2ヶ月申請しないと手当カット」といったルールを設けて運用し、社内のコミュニケーションを活性化している。

 このような実世界での対面コミュニケーションを活性化する施策と、ICTを用いてコミュニケーションを活性化する施策とを同時に実行することが、多様な仕事環境の中での人材のコミュニケーションを強化し、組織の活力を向上させるポイントである。

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