HP、Intel、Yahoo!が7月29日、クラウドコンピューティングに関する共同プロジェクトを発表した。IT分野の新たなパラダイムに向けた合従連衡の動きが本格化しそうだ。
米国のHewlett-Packard(HP)、Intel、Yahoo!の3社が7月29日、主に研究や教育利用に向けたクラウドコンピューティングのテスト環境「The HP, Intel and Yahoo! Cloud Computing Test Bed」を共同で開設したと発表した。これによって教育機関や政府機関が、ITリソースを必要なときに必要なだけ、低コストで利用できるようにするのが狙いだ。
このテスト環境では、グローバル規模のクラウドコンピューティングに関するソフトウェア、データセンター管理、ハードウェア上の課題について研究を進めるほか、クラウド向けアプリケーションやサービスの開発も支援する。
また、同プロジェクトには、シンガポールの情報通信開発庁(IDA)、米イリノイ大学アーバナシャンペーン校、独カールスルーエ工科大学も協力。当面はこれら3組織と、HP Labs、Intel Research、Yahoo! Researchが所有する計6カ所のデータセンターを利用して共同研究を進める。
各データセンターでは、主にHPのハードウェアとIntelのプロセッサを基盤としたクラウドコンピューティングインフラをホスティングし、オープンソースの分散ファイルシステム「Apache Hadoop」や、Yahoo! Researchが開発した並列プログラミング言語「Pig」を採用。年内にはすべてのデータセンターにおいてテスト環境を整える計画だ。
HP、Intel、Yahoo!という有力IT企業3社による共同プロジェクトの発足が象徴するように、クラウドコンピューティングをめぐる合従連衡の動きがここにきてにわかに活発になってきた。この分野では、GoogleやAmazon.comが先行しているとみられているが、本格的なビジネスに向けた戦いはまさしくこれからだ。
とりわけ、今後の主戦場となりうるエンタープライズ市場では、きめ細かいサービスやアプリケーションの展開までを考えると、どれほど有力なIT企業といえども孤軍奮闘するばかりでは立ち行かなくなるだろう。IT分野の新たなパラダイムに向けた熾烈な主導権争いが、今まさに始まろうとしている。
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