ソフトウェアライセンスを把握――しかも社員に嫌われず良い管理者 悪い管理者 普通の管理者(3/5 ページ)

» 2008年08月08日 08時00分 公開
[木村尚義,ITmedia]

まずはマニュアル通りの対応から

 [普通のシステム管理者・田中一郎]は、レンタヒューマンのソフトウェア資産管理の責任者である。全社ポリシーとして違法コピーを禁止することが決定していたが、何からどう手を付けてよいのか分からなかった。一郎は、ソフトウェア管理成熟度を引き上げるべく検討している。幸いなことに経営方針として、違法コピーは許さないことが全社員に通達されたばかりであるから、理解されやすいだろう。

 一郎は、ACCS(社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会)が示す「違法コピー防止マニュアル」を参考にすることにした。違法コピー防止マニュアルには、次のようなステップが書かれていた。

ステップ 内容
1 部署内の現状を把握する
2 管理単位と導入推進者の決定
3 ソフトウェア使用状況と管理運用体制作り
4 上司/経営責任者への報告と運用の準備

 ステップ1、ステップ2は、レンタヒューマン全社の決定事項なので、違法コピーの防止を目的に全社員が行動することになる。ソフトウェア導入の責任者と導入以降の管理者は、一郎に一任されている。ステップ3以降の各ステップで必要な情報収集に関しては、ソフトウェア導入状況把握マニュアルには、コンピュータにインストールされているソフトウェア台帳を作成するようにアドバイスしている。

 しかし、社員全員がコンピュータに詳しいわけではないので、インストールしてあるソフトウェアの調べ方を説明するのは容易ではない。一郎が説明書を作り始めたときに、ACCSのWebサイトから調査のための手順書をダウンロードしたことに気が付いた。「調査依頼書」と「ライセンスの証明書類収集の手引き」のファイルがあった。開いてみると従業員に対するお願い文に、ソフトウェア台帳を作成するコンピュータ操作の手順まで記載されていた。ソフトウェア利用調査票は、ダウンロードすれば社内でそのまま使えそうだ。

 一郎は、ステップ3の「ソフトウェア使用状況と管理運用体制作り」で、体制導入以降のソフトウェア管理の実践運用を考えてみた。ACCSの資料によると、管理責任者の役割に次のような項目があった。やることは多そうだが、下記に従い地道に進めていけば、何とかなりそうである……。

項目 内容
インストール管理台帳の作成・更新 部署ごとに、必要なソフトウェアがインストールされているかどうかを管理する。バージョンにも注意する
ライセンス証明書などの保管・管理 インストールしてあるソフトウェアが正規の製品であることを証明する
オリジナルディスクの保管・管理 貸し出しの際にも貸し出し台帳を作成し、また貸しを禁止する
新規ソフトウェアのインストール管理 新規ソフトウェアが必要なときは、一郎のシステム管理部門に申請してもらう
ライセンス管理台帳の更新 バージョンアップ、バージョンダウンの使用を考慮する
ソフトウェア監査の実施 6カ月に1度、所属長にお願いして提出してもらう
従業員の普及・啓発 機会あるごとに、違法コピー防止の取り組みと、現在までの成果を報告する

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