「.」の正式名称はFull Stop?――意外と知らない記号の読み方今日から使えるITトリビア

びっくりマークと言えば「!」、はてなマークと言えば「?」。文章を書くときに使う記号には、「読み方」がある。結果的に通じればよいとしても、記号には決められた名称があるのだ。

» 2008年08月23日 08時00分 公開
[吉森ゆき,ITmedia]

こんな読み方もするんだ!?

 書き言葉には、意味を補完するために、いくつもの記号が用意されている。本来は発音するものではない記号だが、文字として入力したり、文章中の存在を伝えたりするには、記号の名称を知っておくと便利だ。

 実は、私たちがよく利用している「!」「?」などの記号には、JIS(Japanese Industrial Standard=日本工業規格)で決められた「名称」がある。その名称が書かれているのが「JIS X 0201-1997 7ビット及び8ビットの情報交換用符号化文字集合」という規格で、PDFで閲覧できる。これは、1991年に発行された「ISO/IEC 646」という規格を基に作成されたものなので、記号の正式名称は英語。ただし、日本語の通用名称も参考として書かれている。

 この文書を見てみると、巷で正式名称のように通用している読み方が書かれていなかったり、初めて聞いたような名称が書いてあったりする。

 例えば「.」。英語の時間に教わったのは、たしか「ピリオド」という読み方だった。それがインターネットの時代になると、URLの区切りとして「ドット」と読まれることが多くなった。しかし、正式名称は「Full Stop」。こんな読み方したことないという人も多いだろうが、それもそのはず、ブリティッシュイングリッシュでは使われていても、北米地域ではめったに使われておらず、アメリカやカナダでは、やっぱり「ピリオド」や「ドット」と呼ばれている。ただし、小数点を表す場合のみ「ポイント」という読み方になる。

 日本工業標準調査会のサイトから閲覧可能なpdfで、記号の正式名称を確認できる 日本工業標準調査会のサイトで閲覧可能なpdfで、記号の正式名称を確認できる。また名称が制定された背景情報や「≠」など合成文字の扱いについても記述されている。こちらの検索ページにアクセスし、[JIS規格番号からJISを検索]というテキストボックスへ「JISX0201」と入力し、検索しよう

メルアドの「@」は単価記号

 「,」は何? 「コンマ」と呼ぶのが普通で「カンマ」と発音する人もいるが、この差は許容範囲だろう。JIS規格の名称も「Comma」だ。ところが、日本語通用名称には「セディユ」とも書かれている。この「セディユ」とは、フランス語の「C」の下に付けられる髭のような記号を指している。けれども、少なくとも筆者は、「,」を「セディユ」と読む人に会ったことはない。

 では、「-」は? 「ハイフン」「マイナス」のどちらが名称なのだろう。実は両方とも正解。名称には「Hyphen-Minus」と書かれている。このほかに、電話番号の区切りや「9:00-17:00」のように時間を示すときに「ダッシュ」と読まれることもある。なお、「ダッシュ」という読み方をする記号には、「-」を長くした「―」や「'」もある。

 その「'」も、いろいろな読み方がある記号だ。「アポストロフィー」「シングルクォート」などと読まれるが、名称として定義されているのは「Apostrophe」のほう。厳密には、「’」(アポストロフィー)と「´」(シングルクォート)は違うものだが、半角文字では区別せず使われる。日本語通用名称には「アクサンテギュ」とも記載されているが、これも「セディユ」と同様にフランス語に由来するもので、「A」や「E」の上に付く「´」を指すアクセント符号の意味だ。

 もう1つ、メールアドレスの区切りで利用される「@」。日本では一般的に「アットマーク」と呼ばれている。本来は単価記号を表しており、名称は「Commercial at」。「c」と「a」が合体した形が「@」というわけだ。

日本語の記号にもなぜか英語の名称

 JIS X 0201-1997 では、日本語の半角文字についても名称が定められている。しかも、英語で。これも面白いので、いくつか紹介しよう。

 まず「。」について。日本語では「句点」だが、この名称は「Ideographic Full Stop」になっている。ちなみにIdeographicとは、「表意」という意味。「、」はというと「Ideographic Comma」であり、想像通りである。

 ユニークなのは、長音を表す「ー」。名称は、「Katakana-Hiragana Prolonged Sound Mark」。直訳すると「カタカナ・ひらがな 長音記号」となり、そのまんま無理やり英語にした印象がある

 とはいえ、そもそも記号の読み方など、「通じればOK!」という考え方もある。だからこそトリビアとして取りあげてみたが、JIS X 0201-1997のPDFで記号の名称を覚えておけば、「この記号、何て読むか知ってる?」というちょっとした話のネタにはなるかもしれない。

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