マイクロソフト、HPC Server 2008の提供を日本で開始

マイクロソフトはHPCを幅広い分野で利用できるようにするソフトウェア「Windows HPC Server 2008」を提供する。

» 2008年10月02日 18時40分 公開
[ITmedia]

 マイクロソフトは10月2日、都内で記者発表会を開催し、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を金融サービスなど幅広い分野で利用できるようにするソフトウェアを同日から提供することを明らかにした。従来のHPCは、高価なスーパーコンピューターを学術系分野の分析などに利用するのが一般的だったが、新ソフトウェアにより低コストなPCサーバを多数接続し、Windowsの操作要領で負荷の高い処理を実施できるようにする。

米MSのファエノフ氏。科学技術者でもある

 新製品は「Windows HPC Server 2008」。2006年に提供を始めたWindows Compute Clusterの後継として開発した。来日した米MicrosoftのHPC担当ゼネラルマネジャー、キリル・ファエノフ氏は同社のHPCの利点として、Excelや開発環境のVisual Studio、データベースのSQL Serverなどユーザーが馴染みのあるアプリケーションを利用できる点を挙げた。同様に、クラスター構築では、Active DirectoryやSystem Center、OSレベルでは、Hyper-V Serverなどを利用することで、セキュリティ水準と使い勝手の良い管理環境を実現できるとしている。

 同社が挙げるWindows HPC Server 2008の特徴は、高速RDMA(Remote Direct Memory Access)技術「NetworkDirect RDMA」、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づくジョブスケジューラ、拡張性を重視したクラスター管理ツールなど。Open Grid Forumが策定したHigh Performance Computing Basic Profile(HPCBP)などの標準を採用することで相互運用性を確保し、数千CPUコアといった大規模なシステムの構築や運用も可能にするという。

 この日は、HPC Server 2008を用いて金融システムの構築サービスを提供するパートナー企業として、伊藤忠テクノソリューションズの取締役兼常務執行役員の藁科至徳氏が今後の取り組みについて話した。「金融業界全体で100万台のx86サーバが稼働しており、うち20%が金融向け。年20%の成長をしている」とし、この市場をHPC Server 2008を武器に取りに行く意気込みを見せた。

伊藤忠テクノソリューションズの藁科氏。「CPUに一定時間負荷をかけるストレステストを実施したところ、通常3時間かかっていた処理をHPC Server 2008ベースのシステムは90秒で処理した」

 マイクロソフトは、処理性能で世界1位を獲得したスパコン「TSUBAME」を開発した東京工業大学の松岡聡教授とも協力関係を結んでいる。同社製品とHPCの親和性の向上に努め、一般への普及を図るという。

 HPC Server 2008のライセンス価格は、「Open Business License」が9万1400円としている。

 なお、パートナー企業は以下の通り。Windows HPC Server 2008対応サーバを提供するのはHPCシステムズ、クレイ・ジャパン・インク、デル、日本IBM、日本コンピューティングシステム、NEC、日本HP、ビジュアルテクノロジー、日立製作所、富士通の10社。

 構築サービスおよび関連ハードウェアを提供するのは20社で以下の通り。アクセンチュア、伊藤忠テクノソリューションズ、インテル、HPCシステムズ、HPCソリューションズ、HPCテクノロジーズ、スケーラブルシステムズ、住商情報システム、デル、電通国際情報サービス、日本IBM、日本AMD、日本コンピューティングシステム、日本総研ソリューションズ、NEC、日本HP、ビジュアルテクノロジー、日立製作所、富士通、ベストシステムズ。

 対応ソフトウェアの提供は、アライドエンジニアリング、アルテアエンジニアリング、アンシス、インテル、ウルフラム リサーチ アジアリミティッド、エムエスシーソフトウェア、ケイ・ジー・ティー、タワーズペリン、サイバネットシステムの12社。

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